東御市教育委員会事務局教育部教育課
　堀田　雄二

1.はじめに

　長野県の東部に位置する東御市は、上田市・小諸市などに隣接し、平成16年4月1日に東部町と北御牧村が合併して発足した合併特例市です。人口は、3万人余りの、豊かな自然に恵まれた歴史資源が豊富なまちです。
　東御市文書館は、平成22年8月23日に「上田・東御・小県地域史連絡協議会」から「東御市立文書館」の設置を求める請願書が東御市長及び東御市議会に提出され、市議会において主旨採択されました。これを受けて、市役所関係部署により検討し、平成28年度に東御市文書館整備検討委員会、平成29年度には東御市文書館検討委員会を設置し、東御市民や関係者による検討を重ね、平成30年4月4日オープンを迎えることができました。
　東御市内に残された中世から江戸時代にかけて書かれた古文書や、歴史的資料として重要な明治時代以降の公文書、「東部町誌」・「北御牧村誌」編さん時に収集した資料などを、市民共有の財産として永く後世に伝え、公開していくことにより、地域の文化活動の発展に寄与するとともに、公正で開かれた市政が進められることを目的として開館しました。その経過は次のとおりです。

2.東御市文書館設置の経過

　2-1「上田・東御・小県地域史連絡協議会」の請願について
　平成22年8月23日に上記団体より東御市議会議長宛に東御市立文書館設置を求める請願が出され、東御市議会において趣旨採択がなされました。同協議会からは同様の請願が同時期に、上田市・長和町・青木村にも出されました。

　2-2.東御市文書館整備検討委員会について
（１）文書館整備の経過
　北御牧総合支所3階（旧北御牧村議場等）他の活用方法について、東御市役所内のワーキンググループ（担当；総務部総務課）において、平成25年度まで検討を進めてきました。その結果、歴史的公文書や古文書、アケボノゾウ化石などの指定文化財を収蔵する文書館を整備することとなりました。
　そこで、東御市教育委員会生涯学習課が平成28年10月に東御市文書館整備検討委員会を設置し、整備計画の検討を行いました。その結果を元に整備方針を決定し、平成30年度の開館を目指し、整備を進めることになりました。
（２）委員の構成
　東御市文化財保護審議委員4名・アケボノゾウの会代表1名・北御牧地区公民館長1名・北御牧地区担当地域づくり支援員1名・梅野記念絵画館館長1名の計8名。

　2-3東御市文書館検討委員会について

(1)東御市文書館検討委員会設置の経過
　上記整備検討委員会において整備計画の検討を行いました。委員会での検討の結果を元に改修工事の実施設計をし、文書保管室や文書整理室などの改修工事を実施し3月末に一階を含めたすべての工事が完了しました。
　平成30年度の開館を目指し、本委員会において、基本計画案及び運営方法の検討をしていただきました。また、基本計画の策定・例規の整備についてご検討をお願いし、例規については、東御市議会に上程し、可決成立しました。
(2)委員の構成
　東御市文化財保護審議委員3名・古文書研究者及び郷土史研究者2名・東御市社会教育委員1名の計6名。

　2-4.東御市文書館の開館について
(1)平成30年4月4日に開館しましたが、閲覧等の利用については当面一部（東御市教育委員会所有古文書の整理済分）となります。公開基準・受け入れ基準等の詳細については今後の課題です。
(2)改修工事は一部が2月中に終了し、3月中に搬入しました。古文書は、工事竣工箇所及び工事を実施しない部屋に保管してあり、分類はほぼ終了し、一部文書保管室への搬入に着手しました。非現用文書（公文書）は未着手で、現在閲覧室と東御市役所・和記念館（旧和学校校舎）等に保管してあります。

3.おわりに

　開館に至る経過は上記のとおりですが、4月4日より利用されており、公開資料は利用許可申請書による申請方式とし、年末年始を除く平日の午前9時から午後5時まで開館しております。要望があれば、土日・祝日・夜間も開館することがあります。
　また、公正で市民に開かれた施設の運営を行うため、「東御市文書館運営委員会」を設置し、さらに運営協力員を制度化し、市民とともに共同運営体制を構築していきます。文書目録が整備された文書から、目録を紙ベース及び市のホームページにより公開しますが、現在のところ収蔵している文書類の一部のみです。引き続き目録の整備を、市民有志とともに進め、できる限り早期に資料を公開できるよう努めてまいります。
　なお、3階の一室には、「文化財展示室」、1階の一部に長野県指定天然記念物でありますアケボノゾウ化石や、昭和39・40年度に北御牧中学校地学班の生徒が長野県学生科学作品展示会で知事賞・日本学生科学賞地方審査で最優秀賞を受賞した資料や化石などの展示コーナーを設置しました。小中学生をはじめ、多くの皆様にご覧いただければ幸いです。

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