平成27年度アーカイブズ研修Ⅱについて

国立公文書館

1. はじめに

   国立公文書館(以下「当館」という。)では、平成28年1月19日(火)から1月21日(木)までの3日間、「平成27年度アーカイブズ研修Ⅱ」を開催しました。
   本研修は、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関する特定のテーマに係る共同研究を通じて、実務上の課題を検討し、業務の改善に反映させることを目的としたものです。研修の前半に講義と事例報告を設け、後半は各自が関心を持つテーマのグループに分かれて討論を行ったのち、全体討論にて各班の成果を発表しあう構成となっています。受講者は、国又は地方公共団体の設置する公文書館等の職員及び地方公共団体の文書主管課等の職員が対象です。
   今年度のテーマは「公文書等の評価選別」とし、国の機関をはじめ、県、政令指定都市、市区町、国立大学法人等の25機関から31名の参加がありました。

2. 講義と事例報告

講義風景

講義風景

   講義では、元広島県立文書館副館長の安藤福平氏に、「公文書の評価と選別-基本的な考え方-」と題し、諸外国における評価選別の理論的背景やその歴史的発展、また日本における受容と実践の状況等について、幅広くお話しいただきました。
   事例報告では、大阪市公文書館の岡本真奈氏、神奈川県立公文書館の相澤英之氏に、各自治体における評価選別の現状や課題と、それに対する取組みについてお話しいただきました。また群馬県立文書館の小高哲茂氏には、平成19年に県立文書館と県内市町の文書管理担当者等との協同により策定された「群馬県市町村公文書等保存活用連絡協議会 選別収集基準ガイドライン」について、取組みの経緯や内容、成果等についてご紹介いただきました。あわせて、国における評価選別の取組み等についても、当館より報告しました。
   今号(第60号)では、これらの講義や報告を踏まえて各班で行われた討論の内容・成果を掲載しています。

3. まとめ

全体討論の様子

全体討論の様子

   研修終了後に実施したアンケートでは、受講者から、「前回研修(平成24年度)よりも事前調査の項目を大幅に増やしていただいたことと、前回報告の事前確認を推奨していただいたことが、非常に良かったと思います。おかげでテーマ討論の準備や進行の質が上がりました。」、「歴史公文書を残す目的をはっきりさせることが重要だということが参考になった。」、「グループ討論では、各参加者がもつ課題をとおして原課や文書主管課、そして公文書館の関係を多角的に見る必要性を改めて認識することができました。」、「確実にこの方法が正しいというものがない中で、担当者ができることは地道な作業になると思いますが、これを少しずつでも積み上げていくことで今後大きな財産となり組織ごとの評価選別方法が確立していく基礎になっていくのだろうと思います。」といった意見が寄せられました。
   今後も、受講者や所属機関から寄せられた御意見、御要望を踏まえ、各機関で業務に当たられる職員の皆さまが実務上の問題点等の解決方策を習得できるような研修となるよう、取り組んでまいりたいと思います。