巻頭エッセイ「アーカイブズ58号に寄せて‐皆様からの声を求めて‐」

独立行政法人国立公文書館長 加藤丈夫

 準備を進めてまいりました「国立公文書館友の会」が、平成27年9月1日に発足しました。この友の会は、当館が事業計画に掲げる「歴史公文書等の利用の促進」に係る「利用者層の拡大に向けた取組」の一環として導入するものです。会員となられた方々に、当館の展示・イベント等の情報を提供することで、当館を積極的に活用いただくだけでなく、当館がより充実した、身近な場となるよう当館の活動をサポートしていただきたいと考えています。
   この友の会の組織づくりや会員特典等の検討に当たっては、当館の展示をご覧になられた方を主な対象として実施した「友の会アンケート」にお寄せいただいたご意見も参考にしています。当館では、これ以外にも、さまざまなアンケートを実施しています。代表的なものには、特別展来場者、閲覧室利用者、当館施設見学会参加者を対象にしたものやデジタルアーカイブに関するアンケートなどがあります。当館では、各担当職員が、お寄せいただいた回答のすべてに目をとおし、集計結果を分析し、業務の改善を図れるよう日々努めています。
   こうしたアンケートに限らず、この『アーカイブズ』をお読みになられたり、ホームページ上の「デジタル展示」をご覧になられたりした感想などでも、お気軽に声をかけていただければ、皆様お一人おひとりの声が当館の力になると考えています。一人でも多くの方に当館の声を届けつつ、当館に対しても声を返していただきたいと願う日々です。
   本号には、利用者参加型の取組や普及啓発の活動について取り上げた記事があります。より多くの方に、公文書館の存在や、その担う役割を知っていただき、さらに利用していただきたいという思いは、内外の公文書館に共通するものです。公文書館に対する理解が更に広く深まることを願いながら、本号をお届けします。