「国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク」のウェブサイトについて

統括公文書専門官室(総括等)上席公文書専門官
寺澤 正直

はじめに
  国立公文書館(以下「当館」という。)では、「国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク」と題したウェブサイトを2026年2月に公開しました[1]。本ウェブサイトは、当館の調査研究の成果を基に、公文書管理にかかわる行政機関等の皆様や、アーキビストを含む公文書館等の皆様に、理論と実務の両面で役立つ情報の提供を目的としています。図1はそのトップページ画面です。
  本稿では、多くの方々に、本ウェブサイトを活用していただくため、その概要、公開までの経緯、特色を紹介します。

図1 トップページ画面

1.概要
  本ウェブサイトでは、当館がこれまでに行った調査研究の成果を中心に、「基盤データ」と「国立公文書館の取組」に分けた上で蓄積し、「利用者別」「テーマ別」といった複数の探索ができるように整理し、提供しています。
  本ウェブサイトを活用することで、主に次の2点が可能となります。1つ目は、想定する利用者に対して、具体的には、公文書管理に携わる行政機関に所属する方々、アーキビストを含む公文書管理に携わる公文書館等に所属する方々を想定した上で、公文書管理や公文書館の業務に係る理論と実務に関して役立つ情報を容易に入手できます。2つ目は、当館だけではなく、内閣府や国際機関から公表されている公文書管理に関する役立つ情報を、一元的に取得できます。
  今後、本ウェブサイトから提供していく情報を、当館が定期的に集約し、蓄積し、最新化に努めて参ります。

2.公開までの経緯
  当館では、国立公文書館法(平成11年法律第79号)に基づき、「歴史公文書等の保存及び利用に関する調査研究」を行っています[2]。また、「新館開館に向けた国立公文書館のビジョン」の中で、当館が公文書管理の中核組織(Center for Archives)として、民主主義の根幹を支える基本的なインフラである公文書の保存及び利用を通じ、「現在」及び「将来」の国民の国づくりへの参加や質の高い生活の実現に寄与することを目指しています[3]。図2はそのイメージを図示したもので、図2の下部に、それを支える研究基盤として「アーカイブズ・シンクタンク」が位置付けられています[4]。本ウェブサイトは、その研究基盤に関する具体的な取組の1つです。

図2 公文書管理の中核組織(Center for Archives)のイメージ

  当館では、その研究基盤の実現を目指し「アーカイブズ・シンクタンク機能の調査研究計画」(令和7年3月25日館長決定、以下「本計画」又は「調査研究計画」という。)を作成しました。本計画では、アーカイブズ・シンクタンク機能として行う調査研究について、(1)「公文書及びアーカイブズの管理等に関するもの」、(2)「理論と実務の両面を見据えたもの」、(3)「国民、行政機関、国内外のアーカイブズ関連機関に資するもの」の3点の基本的な考え方を示しています。
  本ウェブサイトの公開にあたり、本計画やこれまで当館が実施してきた調査研究の成果の中から、公表可能な情報を取りまとめ、2025年8月にパイロット版として公表しました。その後、有識者による助言等を踏まえて、2026年2月に正式版として公表しました。

3.特色
3.1 利用者別で探す
  本ウェブサイトの利用者としてどのような方を想定するのかは、調査研究計画の検討段階からの課題でした。公文書及びアーカイブズの管理等に関する情報の範囲は大変広いためです。そこで、本ウェブサイトでは「行政機関の方」と「アーキビストの方」の2種類の利用者を設定した上で、それぞれの方に即して、役立つ情報となるよう提供情報を整理しています。
  「行政機関の方へ」では、行政機関や独立行政法人等でお勤めの文書管理者や文書作成・取得者を想定し、例えば、公文書等の管理についての法律、規程、ガイドライン等を集めたリンク集である「公文書管理関係法規集」や、当館が作成した「電子公文書の作成・保存・利用ガイドブック」を取りまとめ、提供しています。
  「アーキビストの方へ」のページ(図3)では、国や地方公共団体が設置する公文書館等でお勤めの方を想定し、例えば、国際公文書館会議(International Council on Archives, ICA)が策定した「アーキビストの倫理綱領」の日本語版や、当館が作成した「公文書館等におけるデジタルアーカイブ・システムの標準仕様書」を提供しています。
  将来的には、「国民本位の国立公文書館」となるべく、公文書管理や公文書館の役割に関心のある研究者やジャーナリスト、その他国民の皆様に向けた情報の提供も目指しています。

図3 「アーキビストの方へ」のページ画面

3.2 テーマで探す
  本ウェブサイトでは、利用者別で探す以外の方法として、「テーマで探す」こともできます。2026年現在では、「デジタル化及び電子公文書」「保存・修復」といったテーマで情報を取りまとめています。将来的には、公文書及びアーカイブズの管理等に関する情報を、『アーキビストの職務基準書(以下「職務基準書」という。)』[5]の「職務」を基に体系的に整理して、例えば「評価選別・収集」「利用」「普及」のテーマ別に、提供したいと考えています。図4は「テーマで探す」の中の「保存・修復」のページ画面です。保存や修復に関心のある利用者が、役立つ情報として、「被災公文書等マニュアル」やICAの地域支部の一つである太平洋地域支部(PARBICA)が策定した災害防備計画等の日本語版等を取りまとめて、提供しています。

図4 テーマ「保存・修復」のページ画面

3.3 基盤データ
  当館では、日本国内の公文書館全体で必要となる基礎的な情報を知識基盤と位置づけています。これらの情報には、公文書管理に関する情報が含まれています。本ウェブサイトでは、それらの情報を基盤データとして取りまとめ、整理し、提供しています。また、基盤データでは、「法規・標準」「機関情報」に大別して取りまとめ、類似の情報を一望できるようにも工夫しています。その中でも特徴的な情報についてご紹介いたします。

(1)公文書管理関係法規集
  公文書管理関係法規集は、公文書等の管理についての法律、規程、ガイドライン等を集めたリンク集です。本法規集では「基本法令等」「行政文書の管理」「特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄」等で、情報を整理しています。「公文書管理関係法規集」のページ(図5)では、例えば、行政文書の管理に関するガイドラインであれば、その最新版が提供される内閣府のウェブサイトを案内しています。法令、政令であれば、デジタル庁が運営するe-Govの法令検索を案内しています。今後も、これらの情報を最新化しつつ、体系的に一望できるよう、定期的な確認をしていきます。

図5 公文書管理関係法規集のページ画面

(2)国際公文書館会議(ICA)等による標準等
  「国際公文書館会議(ICA)等による標準等」は、ICAが策定した国際標準を対象として、その日本語版を提供しています。「国際公文書館会議(ICA)等による標準等」のページ画面(図6)では、各標準を整理し、例えば、各種記述標準では、『職務基準書』にも例示されている、「国際標準アーカイブズ記述第2版(General International Standard Archival Description Second Edition)」、「団体、個人、家に関する国際標準アーカイブズ典拠レコード(International Standard Archival Authority Record for Corporate Bodies, Persons and Families)」等の日本語版を掲載しています。なお、これらの日本語版は、本ウェブサイトからの提供にとどまらず、ICAのウェブサイト内にあるオンラインリソースセンター[6]にも登録し、世界中のアーキビストの目に触れやすいようにする活動も併せて行っています。

図6 「国際公文書館会議(ICA)等による標準等」のページ画面

(3)諸外国国立公文書館情報
  諸外国国立公文書館情報は、特徴的な各国の国立公文書館を選定した上で、その設立年、組織の位置づけ、法令、職員数、所蔵量といった情報を一望し、比較できるように取りまとめられています。「諸外国国立公文書館情報」のページ画面(図7)では、特に、職員数や所蔵量は年々変化するので、定期的な情報の更新も行っていきます。
  なお、諸外国国立公文書館情報は、基盤データの中でも、「機関情報」に関するコンテンツの一つとして整理しています。「機関情報」に関するその他のコンテンツとして、ジャパン・アーカイブズ・ディスカバリー(Japan Archives Discovery、以下「JAD」という。)をご紹介しています。JADは、歴史公文書等を含むアーカイブズを所蔵する機関で、閲覧、展示、デジタルアーカイブ等のいずれかによって、それらの資料が利用できることを確認した機関の機関情報を取りまとめています[7]。JADの詳細については、「「ジャパン・アーカイブズ・ディスカバリー」について」をご参照ください[8]。

図7 「諸外国国立公文書館情報」のページ画面

おわりに
  本ウェブサイトの企画及び構築に当たっては、行政機関、公文書館をはじめ多数の機関の皆様や有識者の皆様から多大なご助言、ご協力をいただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。
  今後も当館における調査研究の成果を蓄積しつつ、本ウェブサイト等を通じた情報提供によって、皆様からの当館への期待に応えることができるよう努めてまいります。本ウェブサイトが、皆様の活動の基盤となりますと幸いです。是非ご活用ください。

[1]国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク、https://www.archives.go.jp/thinktank/, accessed 2026-02-01.
[2]国立公文書館法第11条第1項第5号。
[3]鎌田薫「新館開館に向けた国立公文書館のビジョン」『アーカイブズ』第93号(R6.8.30)、https://www.archives.go.jp/publication/archives/no093/15817、accessed 2026-02-01.
[4]独立行政法人国立公文書館「新たな国立公文書館における学習について」、令和5年6月、第9回魅力ある新国立公文書館の展示・運営のあり方に関する検討会配布資料、資料3、https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/miryoku/20230612/shiryou3.pdf,accessed 2026-01-01.本資料の6頁を基に作成。
[5]独立行政法人国立公文書館『アーキビストの職務基準書』、2018年12月、https://www.archives.go.jp/about/report/pdf/syokumukijunsyo.pdf,accessed 2026-01-01.
[6]ICAウェブサイト、「オンラインリソースセンター」https://www.ica.org/online-resource-centre-2/,accessed 2025-01-01.2026-01-01.
[7]ジャパン・アーカイブズ・ディスカバリー、https://www.archives.go.jp/jad/、accessed 2026-02-01.
[8]楠本里帆「「ジャパン・アーカイブズ・ディスカバリー」について」『アーカイブズ』第82号(R3.11.30)、https://www.archives.go.jp/publication/archives/no082/10989、accessed 2026-02-01.