平成30年度全国公文書館長会議報告


  国立公文書館は、平成30年6月8日(金)、東京都内において、平成30年度全国公文書館長会議を開催しました。 この会議は、公文書管理制度の円滑な運用及び歴史公文書等の適切な保存・利用を図るため、国及び地方公共団体が設置する公文書館等の長の参集を求め、全国の公文書館等が当面する諸問題についての協議を行うとともに、 相互の緊密な連絡を図ることを目的として、平成元年から開催しているものです。平成20年からは、「国際アーカイブズの日」記念講演会等と併せて開催しています。
 今年度は、「アーキビストの育成と活用−職務基準書の活用−」というテーマで開催し、国及び地方公共団体が設置する公文書館、公文書館設置を検討している地方公共団体等から149名が参加しました。


  • 加藤館長挨拶

    加藤国立公文書館長による主催者挨拶・基調報告

  • 会場の様子

    会場に集まった全国の公文書館長と関係者の方々


 加藤丈夫国立公文書館長による主催者挨拶及び基調報告の後、伊藤一晴公文書専門官より、各館に依頼していた「アーキビストの職務基準書」(以下「職務基準書」という。)に関するアンケートの集計結果について報告しました。 次いで「アーキビストの育成と活用」に関して、角正明広島県立文書館長、木秀彰寒川文書館長から、それぞれの館の状況を踏まえた話題提供がありました。


  • 角広島県立公文書館長

    角広島県立文書館長による話題提供

  • 高木寒川文書館長

    高木寒川文書館長による話題提供


 その後、これらを受け、保坂裕興学習院大学教授、森本祥子東京大学文書館准教授に加わっていただき、全国の公文書館長等とで意見交換を行いました。
 意見交換では、まずアンケートで指摘された点について、コメンテーターと参加者の意見をお聞きし、今後においてさらなる検討を行っていただく方向性が確認されました。
 引き続いて、専門職員の採用等をめぐる各館の実情や職務基準書配布後の取組みについて発言がありました。次に、各館の人材養成、採用等の取組みに対して職務基準書をいかに活用できるかなど、意見を募りました。
 会場からは館業務の確認や専門職員の採用に関して職務基準書は参考になったが、職務基準書をさらに活用していくためには、記されている要件を習得するための研修の充実が欠かせず、専門職員の資質の向上等のため、今後も連携・協力していくことを求める意見がありました。
 基準書を公的資格制度に結び付けていくことについても、参加者やコメンテーターの間で活発な意見交換が行われました
 最後に今回のアンケートやご発言を踏まえ職務基準書を速やかに確定させ、アーキビストの公的認証制度に進めて行きたいとの今後の方向性が示され、盛況裡に閉会となりました。
 今回の会議の成果は、「『アーキビストの育成と活用−職務基準書の活用−』に取り組む基本的考え方」(平成30年6月全国公文書館長会議)として取りまとめられました。


  • 意見交換

    左から梅原首席公文書専門官、保坂学習院大学教授、森本東京大学文書館准教授

  • 全国公文書館長会議での意見交換等

    全国公文書館長会議での意見交換等


館長施設見学・実務担当者意見交換会
 8日(金)の午後には、公文書館等の長による施設見学と、公文書館等の実務担当者による意見交換会が行われました。施設見学では、国立国会図書館、東京文化財研究所の2カ所に分かれ(合計56名)、それぞれ概要説明を受けた後、書庫等の施設を見学させていただきました。
 59名が参加した実務担当者意見交換会では、「公文書館の情報発信について」というテーマで参加者全体の間で事例等を紹介した後、6グループに分かれて議論を進めました。活発な議論のなか、各機関における取組や実務課題等についての意見が交換されました。