国立公文書館は、平成28年6月10日(金)、東京都内において、平成28年度全国公文書館長会議を開催しました。
この会議は、公文書館法の円滑な運用及び歴史資料として重要な公文書等の適切な保存・利用を図るため、国及び地方公共団体が設置する公文書館の館長等の参集を求め、全国の公文書館等が当面する諸問題についての協議を行うとともに、相互の緊密な連絡を図ることを目的として、平成元年から開催しているもので、平成20年からは、「国際アーカイブズの日」記念講演会等と併せて開催しています。
今年度は、国及び地方公共団体が設置する公文書館、公文書館設置を検討している地方公共団体等から135名が参加しました。
「公文書館の利用普及」をテーマとした会議の前半では、まず、話題提供として、辻岡雄幸福井県文書館長から、同館の利用普及活動として収蔵資料のデジタル化・公開、月替展示や文化施設・研究機関との連携、広報活動や学校支援の取組等について発表がありました。次に、辻川敦尼崎市立地域研究史料館長からレファレンスを重視した業務改革を経て、利用者や市民との双方向性が生まれ、協働の視点が得られ、多様な利用にこたえる組織、事業の構築につながった旨の発表がありました。これらを受けて、コメンテーターの白井哲哉筑波大学教授より、公文書館法成立頃からの議論の展開などを紹介した上で、公文書館の業務、その中における利用普及の再定義が必要であるとの観点から、館の存在を知ってもらうことの重要性、さらに、インターネット情報が氾濫する現代において、各館が発信する情報には、その情報の信頼性や真正性が担保される点でも重要との発言がありました。
会議後半は、当館の齊藤馨次長をコーディネーターとして、会議に参加した各館長等の間で、活発な意見交換や取組事例の紹介などが行われました。今回の会議の成果は、「公文書館の利用普及」に取り組む基本的考え方」((平成28年6月10日全国公文書館長会議)として取りまとめられました。
実務担当者による意見交換会
10日(金)の午後には、全国公文書館長会議出席の実務担当者による意見交換会が行われ、54名の参加があり、午前中の会議と同じく「公文書館の利用普及」のテーマで活発な意見交換が行われました。
加藤館長挨拶
辻岡雄幸福井県文書館長による話題提供
辻川敦尼崎市立地域研究史料館長による話題提供
白井哲哉筑波大学教授によるコメント
全国公文書館長会議での意見交換の様子
実務担当者意見交換会の様子