彦蔵のアメリカ漂流

嘉永3年(1850)10月、摂津国菟原うばら郡大石村(現在の兵庫県神戸市灘区大石)の栄力丸の乗組員彦蔵らの漂流と体験

12 彦蔵漂流記

請求番号185-0237
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
▲写真をクリックすると、拡大画像が表示されます。

 彦蔵らは2ヶ月近く太平洋を漂流した後、アメリカ船オークランド号に救助され、翌年サンフランシスコに到着。サンフランシスコでは税関長サンダースの世話を受けることになり、彦蔵はカトリックの洗礼を受け、「ジョセフ」の名を授かります。
 嘉永6年8月、彦蔵は第14代アメリカ大統領フランクリン・ピアース(「ピヨス」)と対面します。大統領は彦蔵に政府の学校に入るよう勧めますが、同行したサンダースは、自分が学費を出して学ばせると述べ、これを断っています。彦蔵は後に第15代大統領ジェームズ・ブキャナンとも面会しています。
 画像の2枚目以降は、漂流した船に「わに鮫」が向かってくる様子やアメリカで見聞した人や風景を描いたものです。3枚目の画像は米墨戦争(アメリカ・メキシコ戦争)の図。彦蔵は一度遠方から戦争を見たようで、「国の為め合戦程悪しきものなし」と述べています。
 彦蔵は安政6年(1859)神奈川のアメリカ領事館付通訳としておよそ9年ぶりに日本へ帰国し、その後の日米間の外交交渉に活躍しました。