奇品植物の流行

奇品家雅見(きひんかがみ)

請求番号199-0354

増田繁亭ますだはんてい編、関根雲停せきねうんてい大岡雲峰おおおかうんぽうほか画。文政10年(1827)刊。江戸の青山(現在の港区北西部)で植木屋を営む増田繁亭(金太)が著した奇品植物の図録。別名「草木奇品家雅見」。「奇品」とは、形状が特異なもの、変わったものを指します。江戸および近郷の愛好家が所有する奇品植物約500点を収録し、所有者の名前と住所、逸話等と共に紹介しています。全3冊。内務省旧蔵。

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  1. 1. かもの木(賀茂の木)・大ふくりんぢんちゃうけ(大覆輪沈丁花)・ぬのひきおもと(布引万年青)・かまくらかうじ(鎌倉柑子)・ながしまさかき(永島榊)(冊次1)。
  2. 2. 庭生なんてん(南天)・実生かつら(桂)・くるまや白花ふくじゅ草(福寿草)・くるまやひりゃうかし(飛龍樫)・くるまやありどふし(アリドオシ)(冊次2)。

草木錦葉集(そうもくきんようしゅう)

請求番号199-0353

水野忠暁みずのただとし編、関根雲停せきねうんてい大岡雲峰おおおかうんぽう画。文政12年(1829)刊。斑入ふいり植物を中心とした奇品植物図集。斑入り植物とは、葉や花などに、地の色と違った色がまだらにまじっている植物のことです。本資料は緒巻・前編・後編からなります。緒巻では、斑の種類、栽培法、特殊な用語の解説、害虫駆除法などを述べ、前編・後編では、いろは順に植物の図と解説を掲載しています。水野忠暁(忠敬ただのりとも)(1767~1834)は幕臣(旗本)で、若年より園芸を好み、植木屋が教えを乞うほど卓越した草木の栽培技術を持っていました。全7冊。内務省旧蔵。

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  1. 1. 「椿覆輪ふくりん之部十四品」及び「椿葉替はがえ之部十三品」から、昌けいさくら葉・其蜩つばき・米幸今さくら葉・平五郎七化・赤門紅唐子・唐椿・水伊介・隠木ふくりん・亀甲つばき(冊次5)。
  2. 2. 「梅葉替布入花替十六品」及び「夏木并草之部」から、彦太布入・ときは梅・おきな梅・渡り寒らん実生三歳の図・錦生ばい・水の黄布の梅・水のむくゑの木・すじしだれ・筋とうじ・左兵布入梅(冊次6)。

あさかほ叢(あさがおそう)

請求番号197-0046

四時庵形影しじあんけいえい著。文化13年(1816)序。朝顔の珍種を収録した多色刷の図集。下巻には奇品・珍種の朝顔の育て方も記載されています。朝顔栽培の流行は上方で始まり、文化13年に浅草で朝顔の品評会が開かれたことをきっかけに江戸で大流行し、変化朝顔と称される多種多様な朝顔が生み出されました。そうした流行の最中に刊行されたのが本書です。全2冊。内務省旧蔵。

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画像は、1. 薯葉眉間尺・巻絹(冊次1)、2. 極黄采・つく羽根(冊次1)、3. 牡丹咲・大柳葉(冊次2)、4. 糸柳四枚ぎれ・宇津大柳(冊次2)。江戸時代には確かに存在していた黄色い朝顔ですが、現代には伝来せず、「幻の朝顔」と呼ばれていました。しかし、近年、研究機関等による共同研究で、キンギョソウ由来の遺伝子を機能させることにより、黄色い朝顔の再現に成功しています。なお、江戸時代には遺伝子研究は未発達なため、突然変異や交雑等によって品種改良を実現していました。