本草学から博物学へ

訓蒙図彙(きんもうずい)

請求番号210-0003

中村惕斎なかむらてきさい編。寛文6年(1666)刊。江戸時代前期の図解百科事典。天文・地理・衣服・畜獣・花草等に分類し、図に和名と漢名および注記が付してあります。教育的意図のもとに作成され、児童や初心者にもわかりやすく記されていることから、多くの読者を得ました。中村惕斎(1629~1702)は江戸前期の京都の儒学者。京都の呉服商の子として生まれました。独学で儒学を学び、天文地理、哲学、度量衡、音律等、様々な分野にも精通していました。全10冊。紅葉山文庫旧蔵。

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  1. 1. 杏(からもも・あんず)・梅(むめ〈ウメ〉)・桃(もも)・李(すもも)(冊次9)。
  2. 2. 牡丹ぼたん(ふかみぐさ・はつかぐさ)・芍薬しゃくやく(かおよぐさ)・薔薇しょうび(いばら〈ノイバラ〉)・棣棠ていとう(やまぶき)(冊次10)。

物類品隲(ぶつるいひんしつ)

請求番号196-0164

平賀源内ひらがげんない編。宝暦13年(1763)刊。平賀源内は宝暦7年(1757)以来5回にわたり、江戸の湯島で薬品会やくひんえ(薬種や物産の展示会)を開催しました。薬品会の出品物2000種余の中から360種を厳選し、解説を加えたものが本書です。平賀源内(1728~1779)は江戸時代中期の本草・物産学者、戯作者、浄瑠璃作家。長崎や大坂で本草学、医学を学んだ後、江戸へ出て本草学者の田村藍水たむららんすいに師事しました。温度計、顕微鏡、源内焼の制作、鉱山開発、西洋画の技法の習得、小説や浄瑠璃、狂歌文集を著すなど、多彩な活躍をみせました。全6冊。昌平坂学問所旧蔵。

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画像は、1. 漢種壇香梅(冊次5)、2. 人参園図(冊次6)。壇香梅(ダンコウバイ)は、元来、蝋梅(ロウバイ)の一種に対する漢名ですが、日本では鬱金花(ウコンバナ)のことを壇香梅といいます。ここでは漢種とあることから、蝋梅の一種を指すと考えられます。『物類品隲』には、附録として朝鮮人参の栽培法が掲載されています。朝鮮人参を栽培する際には、図のように日覆いがあるとよいそうです。