庶物類纂図翼の献上

庶物類纂図翼(しょぶつるいさんずよく)

請求番号特054-0002

戸田要人(祐之すけゆき)著。安永8年(1779)成立。幕臣(旗本)の戸田祐之が描いた薬草類の写生画集。『本草綱目ほんぞうこうもく』(李時珍りじちん著)所載の植物を写生しています。本書の献上を幕府へ願ったところ、『庶物類纂』の参考図録として有用であるとの評価を受け、『庶物類纂図翼』の書名を与えられ、安永8年に紅葉山文庫に収蔵されました。平成8年(1996)に『庶物類纂』とともに国の重要文化財に指定されました。全28冊(添書含む)。紅葉山文庫旧蔵。

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画像は龍膽(竜胆、リンドウ)(冊次4)。図の次の頁に、「俗名」として、変体仮名で植物名が記されています。紫色の竜胆は「里牟多宇」(りむたう→リンドウ)、白色の竜胆は「都流里牟多宇」(つるりむたう→ツルリンドウ)とあります。

庶物類纂図翼添書(しょぶつるいさんずよくそえがき)

請求番号特054-0002

植村左源次うえむらさげんじ植村左平太うえむらさへいた田村元長たむらげんちょう著。安永8年(1779)4月成立。安永7年4月、戸田祐之が薬草の図(『庶物類纂図翼』)を幕府へ献上したいと願い出た際、幕府の本草学者である植村左源次、植村左平太、田村元長の三人は、その図が学術的に有用であるかどうか、調査するよう命じられました。その調査報告、及び献上の経緯をまとめたものが本書です。「添書」として、庶物類纂図翼とともに献上されました。紅葉山文庫旧蔵。

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添書では、提出された薬草の図は、『本草綱目』の記述と一致しない植物もあるが、その部分を訂正し、『庶物類纂』に添えて収蔵すれば、薬草類の形状の確認の際に有用であると述べられています。さらに、『庶物類纂』に添えるため、『庶物類纂図翼』と名付けたと記述されています。