東北地方太平洋沖地震被災公文書館等関係者の皆様へ(お見舞い)


 今般、未曽有の地震とそれに伴う空前の大津波に遭遇され、多大な被害を蒙られた皆様に国立公文書館館長として心からのお見舞いを申し上げますとともに、極めて厳しい環境の下で、被害実態の掌握とそこからの復興に懸命の努力を続けておられる各位に深く敬意を表したく存じます。
 さて、皆さまの日ごろのご努力の成果として築きあげられ、地域の行政文化の基盤となり、地域住民の知的拠点として稼働していた公文書館や公文書管理の仕組みが一瞬にして崩壊し、失われたことはその損失の大きさのみならず、各位の喪失感、脱力感は察するに余りあるものがあります。深くご同情申し上げるとともに、地域復興に向けてのご奮闘をお願い申し上げます。
 自然災害の猛威の前には人間の無力さ、小ささが実感されますが、しかし人間の営みはそれらを跳ね返すだけの強さも、偉大さをも有しています。その人間の営みの源こそが地域の行政であり、その記録に関係する文書が地域住民の復興の基盤となる歴史資料として立派に保存されることで公文書館等関係者の社会的な任務が遂行できると考えます。
 災害の苦難は大きく、たとえ廃墟になろうとも、懐かしく、またかけがえのない愛着あふれる郷土に、新たな夢と希望の花を咲かせる先駆けとしての公文書館並びに公文書管理の復興を一刻も早く実現されることを期待します。このような皆様のご努力に対し、わが国立公文書館はできるだけのご援助を致したく、皆様からの御相談をお待ち申し上げますとともに、今回の災害とご苦労に心からあらためてお見舞い申し上げます。(館長 高山正也)