国立公文書館研究紀要『北の丸』第48号の全文を掲載しました


 『北の丸』では、当館が所蔵する資料をより多くの方に利用していただくことを目指し、当館が実施する各種調査・研究の成果を紹介しています。

 「厚生労働省移管文書の特徴」は、文書を作成する側と受け入れる側の状況を検討することにより、厚生労働省(旧厚生省、旧労働省を含む)から国立公文書館へ移管された文書の特徴の把握を試みたものです。この結果、(1)許認可などの個別事案の文書が数多く移管されている一方で、省の意思決定に係る文書の移管が少ないことや、(2)国の移管制度や移管基準の変更に伴って、移管される文書の種類や数量が増えてきたことなどを明らかにしています。

 「アーカイブズ所蔵機関情報の記述に関する国際標準(ISDIAH)とその周辺」は、アーカイブズ所蔵機関情報の記述に関する国際標準(ISDIAH)の成立の背景から諸外国での受容状況、実用例の調査をあらためて整理しなおすとともに、本誌第46号及び第47号で行われた記述実験の成果から見出された課題と課題に対する取組み方を諸外国の事例から明らかにしたものです。

 「国立公文書館における学習プログラムの作成とその課題」では、米国国立公文書記録管理院(NARA)と英国国立公文書館(TNA)の事例の検討を通じて、国立公文書館での「児童・生徒等が公文書を通じて我が国の歴史等に触れる機会を提供するための諸機能の導入」に係る課題と今後の方向性について検討を行いました。

 「『諸向地面取調書』人名索引について」は、幕府が作成した江戸の武家屋敷の調査書である『諸向地面取調書』についての文献紹介及び同書で記載されている1万人以上の武士(主に幕臣)の人名索引の凡例を記しています。
人名索引:https://www.archives.go.jp/publication/kita/pdf/shomuki_sakuin.pdf

 「当館所蔵の『絵入り本』解題(4)」は、貴重な古写本の陰に隠れて手つかずの状態となっていた「絵入り本」(本文に挿絵や図版などが添えられた書籍)について、書誌情報や内容などを解説したもので、第45号から発表しているものです。

 「『視聴草』所収国文学系資料解題(2)」は、江戸時代後期の幕臣である宮崎成身が編纂した『視聴草』に収録された資料のうち、物語や和歌など国文学分野に該当する資料について、書誌情報、解説を記したものです。

 「当館所蔵 林羅山旧蔵書(漢籍)解題(2)」は、当館が所蔵する漢籍のうち、林羅山(はやし・らざん)が所蔵していた書物を調査したものです。林羅山の蔵書は「明暦の大火」によって焼失してしまいましたが、幸いにも二人の息子に分与していた書籍が焼失を免れ、現在では437部4,385冊の漢籍が当館に収蔵されています。本稿は、この中で特筆すべき事項のある書物の解説です。

(平成28年3月4日)


【リンク】
 『北の丸』第48号(平成28年3月)へ
https://www.archives.go.jp/about/publication/kita/048.html