国立公文書館研究紀要『北の丸』第46号の全文を掲載しました


 『北の丸』では、当館が所蔵する資料をより多くの方に利用していただくことを目指し、当館が実施する各種調査・研究の成果を紹介しています。
 「内閣補助部局における記録管理の史的展開」は、日本における政策の形成や企画立案の過程において、記録文書がいかに位置づけられてきたか、その史的展開を追ったものです。なお本稿は、当館が平成24年度に実施した「アーカイブズ研修V」の修了論文「わが国の政策形成とアーカイブズに関する試論―内閣補助部局における記録管理の史的展開を中心として―」を加筆・修正したものです。
 「統計調査の企画に関する文書についての一考察」は、「行政文書の管理に関するガイドライン」(平成23年4月1日内閣総理大臣決定)の別表第2で歴史公文書等の具体例として示された「基幹統計調査の企画に関する文書」について、その具体例として昭和45年国勢調査の立案・決定・実施過程に考察を加えたものです。
 「国際標準に基づくアーカイブズ所蔵機関情報記述の試み」は、国際公文書館会議(ICA)が2008年に発表した「アーカイブズ所蔵機関の記述に関する国際標準」(ISDIAH) に基づいて、独立行政法人国立公文書館(本館)に関する記述を試みたものです。
 「書物方年代記(5)」は、徳川将軍家の蔵書(いわゆる紅葉山文庫)を管理する書物方の業務日誌の紹介です。本稿は、第42号から継続的に発表しているもので、今回で最後となります。今回は文化11年(1814)から安政4年(1857)の記述の中から特筆事項を紹介します。
 「『思忠志集』件名細目(上)」は、旗本の天野長重(1621〜1705)が遺した『思忠志集』全22冊について、その成立の経緯と天野長重の履歴等を紹介し、あわせて本文に補記された件名を順に列挙したものです。『思忠志集』は、長重が四十年以上にわたって書きとめた教訓・見聞・政策論・健康法等を収録し、その件数は2015件、江戸時代前期の世相と風俗、そして武士の生活や思想を知る一級の史料といえます。
 「当館所蔵の「絵入り本」解題(2)」は、貴重な古写本の陰に隠れて手つかずの状態となっていた「絵入り本」(本文に挿絵や図版などが添えられた書籍)について、書誌情報や内容などを解説したものです。
 「当館所蔵漢籍の「宋版」及び「元版」の解題(4)」は、第43号から継続的に発表しているもので、国立公文書館が所蔵する漢籍について、その書物の内容・著者・伝来等を解説します。当館は、中国の南宋時代に刊行された「宋版」と元時代に刊行された「元版」とを、約130部所蔵しており、これらの書籍を一般の利用者にも分かり易く解説することを目的としたものです。

(平成26年2月21日)



【リンク】
 『北の丸』第46号(平成26年1月)へ
 https://www.archives.go.jp/publication/kita/046.html