国立公文書館研究紀要『北の丸』第44号の全文を掲載


 『北の丸』では、当館が所蔵する資料をより多くの方に利用していただくことを目指し、当館が実施する各種調査・研究の成果を紹介しています。
 「書物方年代記(3)」は、徳川将軍家の蔵書(いわゆる紅葉山文庫)を管理する書物方の業務日誌の紹介です。本稿は、第42号・第43号から継続的に発表しているもので、今回は安永6年(1777)から寛政6年(1794)の日誌中から特筆事項をまとめています。
 「当館所蔵漢籍の「宋版」及び「元版」の解題(2)」は、第43号に続き、国立公文書館が所蔵する漢籍について、その書物の内容・著者・伝来等を解説したものです。当館は、中国の南宋時代に刊行された「宋版」と元時代に刊行された「元版」を約130部所蔵しており、これらの書籍を一般の利用者にも分かり易く解説することを目的としたものです。
 「農林水産省の文書管理と移管文書の特徴」は、農林水産省から国立公文書館に移管された文書に考察を加えたものです。農林水産省の過去の文書管理規則等を手がかりに、移管された文書が農林水産省内でどのような意味と位置付けのものであったかを明らかにしています。
 「意思決定過程を示す文書の作成と移管」は、国土交通省や関係省庁から移管された「水資源開発基本計画」関係文書に、平成23年4月1日に施行された「公文書等の管理に関する法律」の第4条「経緯も含めた意思決定に至る過程」の観点から考察を加えたもので、「経緯」に関する文書を作成・管理し、国立公文書館へ移管するための課題を示めしています。
 「国立大学からの民事判決原本の移管完了について」は、平成23年、国立大学からの民事判決原本の移管が完了し目録が公開されましたが、その10年余の業務についてまとめたものです。全国10の国立大学が所蔵する民事判決原本を国立公文書館に移管する計画は、平成12年に開始し、本年度ようやく完了しています。
 「ニュージーランド公文書館の近年の取組」は、ニュージーランドでの2005年の公記録法制定以降、公文書館(Archives New Zealand)が進めてきた取組のうち、標準策定の動きと電子情報・記録の管理に関する取組について、その概要を紹介したものです。

(平成24年2月28日)



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 https://www.archives.go.jp/about/publication/kita/044.html