遣唐使として入唐にっとうした弘法大師にも、様々な伝説が生まれました。『笛の巻』では、天竺の霊山を目指す途上に出遭った謎の童子と法力競くらべをしますが、童子の正体はなんと文殊菩薩だというのです。本書は、江戸時代初期に書写されたもので、室町時代に成立した芸能である幸こう若わか舞まいの詞し章しょうを、読み物として転用した『舞まいの本ほん』と呼ばれる書物のうちの一つです。