公害対策基本法
日本経済が華々しい高度成長を遂げる一方、大気汚染、水質汚染等の問題が深刻化しました。水俣病(みなまたびょう)、新潟水俣病(第二水俣病)、四日市(よっかいち)ぜんそく、イタイイタイ病といった、いわゆる四大公害病が発生し、これらの健康被害が産業によるものであることが明らかになってきました。各地で発生した公害問題に対して、対策をせまる国民世論が高まりました。昭和40年(1965)に設置された公害審議会においても「公害に関する基本施策について」の答申(昭和41年10月)等により、公害の対象範囲、発生源者の責任等、対策の前提となる基本原則を規定すべきと指摘されました。
こうした状況をふまえ、昭和42年に公害対策基本法が制定されました。同法では、公害防止のための事業者、国、地方公共団体の責務が明らかにされるとともに、政府による環境基準の設定等の公害防止に関する施策の基本事項を定める等により、公害対策の推進及び国民健康保護・生活環境保全を図ることとしました。また、昭和46年には、環境保全に関する行政を総合的に推進するため、総理府の外局として環境庁が設置されました。