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持参金問題(政談)((せいだん))

[請求番号 182-0338]

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女性が容易に再婚できた背景には、当時、結婚の際に持参金の額が重視されたという事情がありました。たとえ初婚でなくとも(夫より年上でも)、男性側が要求する持参金さえ用意できれば、幕臣の家の女性は再婚相手に困ることはなかったようです。

持参金は、離縁の際に嫁入り道具と共に返還されたので、女性側は離婚しても経済的に困ることはなく、一方男性側は持参金をそれまでの借金の返済に当て、離縁の際には持参金返済のためにまた借金をしなければなりません。その返済のためにも、再婚の必要があったのです。持参金さえあれば結婚は女性側が有利。しかし娘が多い家ではそれは難しく、そのため持参金が用意できないために嫁にいけない娘や、希望通りの持参金がある相手が見つからず結婚できない息子が増え、幕臣の子女の結婚問題は、幕府にとっても大きな悩みとなっていました。

展示資料の『政談』は、儒者の荻生徂徠(1666-1728)が、将軍吉宗の諮問に答えて幕府の改革すべき点を述べた意見書(1726年頃の成立)。徂徠は持参金の弊害に触れ、この悪習をなくすためには、幕府が「縁組ヲ司ル役人」(結婚奉行?)を設けて、縁談をまとめることも考えるべきだと提言しています。

展示資料は安政6年(1859)年刊。内務省旧蔵。全4冊。


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