国立公文書館研究紀要『北の丸』第56号を掲載しました。


『北の丸』では、当館が所蔵する資料をより多くの方に利用していただくことを目指し、所蔵資料に関する調査・研究の成果を紹介しています。

「地方行政関係文書の特徴について―国立公文書館移管文書を中心に―」 は、自治省から移管された文書及び総務省から移管された地方行政を所掌した国の行政機関が作成・取得した文書を分析し、その特徴を明らかにしたものです。併せて、現在、総務省が保有する自治省が作成・取得したと考えられる文書についても検討を行っています。

「基本展示『日本のあゆみ』に関連する所蔵資料の基礎的な調査研究について」 は、当館の新館における展示の検討に資するため、基本展示「日本のあゆみ」における展示資料24件の関連資料を調査し、そのうち「江戸から東京へ」、「普通選挙法」、「国民所得倍増計画」の3件に関連する10点の資料を紹介し、その活用方法や今後の課題を提示したものです。

「アジア歴史資料センター『辞書検索』構築の成果と課題」 は、「ユーザーと歴史資料をつなぐためのインターフェースとなる辞書」というコンセプトのもとに、センターの設立期の2001年に開発された「辞書検索」について、その改善の取り組みの経緯をとりまとめたものです。さらに、2021年4月に公開されたアジア歴史資料センターデータベースの「辞書検索(カテゴリー・五十音)」についても紹介しています。

「イギリス国立公文書館における学習機能について―授業用教材を中心に―」 は、当館の「学習機能」の検討に資するために、まず、イギリスの教育制度や教育環境、歴史教育の現状を概観した上で、イギリス国立公文書館が実施する学習機能の全体像の把握を行っております。さらに教員向けに提供される授業教材の定量調査や学習段階に応じた所蔵資料の教材化の手法を分析したものです。

「国立公文書館における酸性劣化した特定歴史公文書等の洗浄・水性脱酸性化処理に関する一考察」 は、館所蔵の酸性劣化した特定歴史公文書等に対して、洗浄および水性脱酸性化処理の修復工程と、その具体的な処置方法について再考し、当館が導入すべき事柄と方向性を一案として例示したものです。

(令和6年3月)

【リンク】
 『北の丸』第56号(令和6年3月)へ
  https://www.archives.go.jp/publication/kita/056.html