国立公文書館研究紀要『北の丸』第52号を掲載しました。


『北の丸』では、当館が所蔵する資料をより多くの方に利用していただくことを目指し、所蔵資料に関する調査・研究の成果を紹介しています。

「岩倉使節団復命記録の構造と特質―国立公文書館所蔵「大使書類」を中心に―」 は、当館や外務省外交史料館が所蔵する岩倉使節団復命記録の検討を通じて、その構造と特質を明らかにしたものです。特に当館所蔵「大使書類」については、アジア歴史資料センターのインターネット特別展「岩倉使節団―海を越えた150人の軌跡―」でも紹介しています。

「『土佐国群書類従拾遺』所収『新聞歴史』(一八八〇)―諸本及び本文の検討―」 は、土佐国(高知県)出身の国学者で、内務省図書局に勤務した吉村春峰によって編纂された『土佐国群書類従拾遺』所収の『新聞歴史』全四巻の構成と内容を把握し、同書が持つ価値を論じております。

「「アジア歴史資料」に関する一考察―米国デンバーでの資料調査から―」 は、2019年3月に米国デンバー出張で訪れた(1)米国国立公文書記録管理院デンバー地域資料館、(2)デンバー公共図書館中央図書館、(3)コロラド大学ボルダー校ノーリン図書館、(4)コロラド歴史博物館の所蔵資料の内容や所蔵に至った経緯などを検討することで、「アジア歴史資料」の現状についての考察を行っています。

「書物奉行と紅葉山文庫(2) 鈴木白藤」 は、第51号に引き続き、書物奉行を務めた旗本、鈴木白藤(岩次郎)の事績を紹介しております。今回は、白藤が大名旗本の庭園(別荘)に遊んだ記事(随筆・日記の抄録)を翻刻し、江戸の知識人サークルにおける書物奉行の役割を考察しております。参考資料として、当館所蔵の『名園記』の翻刻全文をウェブサイトに掲載しております。
全文翻刻:
https://www.archives.go.jp/publication/kita/pdf/meienki_zenbun.pdf

「中世文学資料解題(1)」 は、鎌倉時代〜室町時代にかけて成立した文学作品(中世文学)および後世に成立したその注釈書類の書誌情報や解説を記したものです。

「江戸城関係絵図解題(1)」 は、江戸城に関する絵図に関する書誌情報及び内容を解題として紹介したものです。今回は、多聞櫓文書以外の江戸城関係絵図、及び寄託資料の解題を掲載しております。

(令和2年3月)

【リンク】
 『北の丸』第52号(令和2年3月)へ
 https://www.archives.go.jp/about/publication/kita/052.html