34. 後見草

[請求番号 166-0464]

『後見草』には、明和9年(1772)の大火のすさまじさが克明に記されています。江戸の3分の1を焼き尽くした火はとりあえず翌日には鎮まったものの、余燼よじんは20日経っても収まらず(完全消火せず)、夜ごと空が赤く見え不気味そのもの。大火後は男女の見分けもつかぬほど焦がれただれた屍や、手足を焼かれて移動の自由を失った人々が多数地面に転がり、あるいは臥していたということです。杉田玄白はまた土蔵造りを増やすなど防火対策が積極的にとられてきたにもかかわらず大惨事となったため、江戸の人々が「天変てんぺんのいたす所」と恐れおののいたとも記しています。

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