1.戊辰戦争
慶応4年(1868)の鳥羽・伏見の戦いからはじまる戊辰戦争では、官軍を示す「錦の御旗」が用いられました。御旗を掲げた新政府軍は、鳥羽・伏見の戦いに勝利し、有栖川宮熾仁親王(ありすがわのみやたるひとしんのう)を東征大総督に任じて東征を行いました。これに対して、奥羽25藩と北越藩は「奥羽越列藩同盟」を結成して抵抗しましたが、会津藩の降伏を機に新政府軍の勝利が確定することとなり、明治2年の箱館五稜郭(ごりょうかく)の陥落により一年半にわたる戦争が終結しました。
展示資料は、「錦の御旗」をはじめとした各種の軍旗を精密に模写した絵図です。内閣所属の画家浮田(うきた)可成により明治21年から約2年をかけて34枚の絵図が作成され、全4巻に仕立てられました。絵図には、克明な精密画に着色が施されているほか、布地の材質等も記載されており、劣化しやすい布製の旗の形状を正確に後世に伝えるための工夫がなされています。
また、藩士や領民などが籠城して戦った会津若松城は、激しい戦闘により大きく損壊しましたが、その様子を伝える写真が残されています。明治6年12月に若松県権令沢簡徳(さわかんとく)から廃城を求める建言書が提出された際、添付されていたガラス湿板写真です。この建言により城は、翌年取り壊されることとなりました。