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14. 第三回内国勧業博覧会と意匠条例

展示資料は、明治23年第三回内国勧業博覧会の開会にあたって、博覧会への新規の出品物に限って意匠出願などの手数料50銭及び登録料1〜8円を免除することを求めた農商務大臣岩村通俊から太政官宛の上申書です。

美術・工芸品などの意匠(デザイン)の保護については、明治21年「意匠条例」が公布されていましたが、その認知度ははかばかしくなく制度の運用が憂慮されていました。当時、日本の美術・工芸品は、輸出品として注目されていましたが、技術力の不足から量産化に課題があり、また、無理な増産は模造と粗製乱造を生み出していました。これに対して政府は、美術工芸教育に努めるとともに、模造品取締のための法整備を急ぎました。このような状況にあって内国勧業博覧会で意匠登録料を免除することは、出品物を増加させて博覧会の成功につなげるとともに、発明者に制度を浸透させることによって生産者としての意識を高めさせようとする、農商務省の巧みな戦略でした。

農商務省の上申は、明治23年3月20日に勅令第44号となって実現されています。これにより、意匠の出願数は、明治22年に176件(登録数22件)だったのが、明治23年には、497件(登録数82件)に増加しました。

第三回内国勧業博覧会出品ニ属スル意匠登録ノ件ヲ定ム
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