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13. 商標条例の制定

商標とは、生産者や販売者が自己の商品を他人の商品と区別するために、商品に使用する文字・図形・記号などの標章のことです。明治17年「商標条例」は、「専売特許条例」に先立って制定され、農商務省内に設けられた商標登録所に商標を登録することで保護が受けられました。

展示資料は、農商務省が太政官に条例の制定を急ぐよう求めた文書です。農商務省は、明治15年4月に条例案を太政官に提出しましたが、太政官での審議が滞っていたため、蚕糸諮詢会の答弁書等を添付して審議の再開を促しました。蚕糸諮詢会は、農商務省が各地の蚕糸事業者の意見を聴取するために設けた組織であり、明治16年5月農商務省へ答弁書と説明書の抜粋を提出しました。文中には、当時輸出主力商品であった生糸が商標の保護が受けられないため、商標の盗用と粗製品による信用損失に悩まされている現状が訴えられています。

また、登録された商標は、見本が農商務省や地方の役所等で観覧できたほか、明治20年からは『商標公報』により公示されました。このような制度は、特許、意匠においても基本的には同じで、特許は明治21年から発行された『特許公報』に、意匠は明治25年から『特許公報』または『官報』に掲載されました。

商標条例制定ノ件
商標公報
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