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11. 専売特許条例の制定

明治5年の専売略規則施行停止以後再開が望まれていた特許制度ですが、その制定作業が本格化するのは明治14年の農商務省設置以後のことでした。農商務省は専売特許について調査を行い、明治17年2月太政官に「発明専売特許条例按」を上申します。

展示資料は、農商務省案の逐条解説の一部です。発明の定義として、臥雲辰致を例に説明しています。ここでは、臥雲の綿糸紡績機械のようなこれまで用いられていなかった事物の創造を「発明」とし、従前世の中に存在していてもこれまで用いられていなかった事物を検出して実用に適応させることを「発見」、従前の機械器具等に工夫を加えるなどしたものを「改良」と定義しています。この農商務省案は、元老院等で審議され、明治18年4月18日「専売特許条例」として公布されました。「専売特許条例」では、専売特許を受けるための要件や、専売特許の存続期限を認可の日から5、10、15年のいずれか特許取得者が選択した期間とすること、発明者が特許後2年以内に不実施の場合や発明品を輸入した場合は特許を無効とすること、手数料などが定められました。また、外国人の特許取得は認められませんでした。

条例の公布に伴い専売特許所が農商務省内に設置され(明治19年専売特許局へ改組)所長に高橋是清が就任したほか、農商務省から出願書式や明細書の文例が告示されました。併せて展示した『現行専売特許条例并特許手続等』からは、出願書類が細かく規定されていたことが窺えます。明治21年「専売特許条例」は、施行後諸外国へ調査に赴いた高橋是清の報告を反映させ、「特許条例」に改められました。この時専売特許局も特許局と改められ、高橋が初代局長となっています。

発明専売特許条例制定ノ件
現行専売特許条例并特許手続等
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関連資料

専売特許所設置当時の職員

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