特集 評価選別ってどんな仕事?

毎年、国の機関では多くの公文書が作成されています。そうした公文書は、
すべて国立公文書館に保管されるのでしょうか?いいえ、未来にわたって残すべきと
判断されたものに限り、国立公文書館に保管されるのです。
その判断をするのが、「評価選別」という作業。
ここでは、国立公文書館における「評価選別」の業務について紹介します。

評価選別ってなに? 省庁が作成した文書について、その文書が高瀬に残すべきものかどうかを評価し、残すものと廃棄しても構わないものを選別することを、評価選別と言います。
具体的にどんなことをしているの? 国立公文書館では、省庁による文書の移管・廃棄の設定について、それが適当かどうかを審査しています。審査を行う中で、廃棄とされている文書について、移管とするように求めることもあります。

省庁が作成した文書の移管・廃棄の流れ

文書の作成・取得→文書の整理→文書の保存→移管か廃棄
どうやって公文書の価値を判断しているの? 省庁が作成した文書の移管・廃棄については、「行政文書の管理に関するガイドライン」において統一的な基準が示されているほか、各省庁において「行政文書管理規則」が定められています。国立公文書館では、こうした基準を踏まえて、評価選別を行っています。
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 「行政文書の管理にガイドライン」では、移管すべき文書についての基本的考え方が示されてます。右のいずれかに該当すれば、歴史公文書等にあたり、国立公文書館等に移管するものと定められています。

  1. 国の機関及び独立行政法人等の組織及び機能並びに政策の検討過程、決定、実施及び実績に関する重要な情報が記録された文書

  2. 国民の権利及び義務に関する重要な情報が記録された文書

  3. 国民を取り巻く社会環境、自然環境等に関する重要な情報が記録された文書

  4. 国の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報が記録された文書

評価選別が終わった文書はどうなるの? 移管が適当と判断された文書は、省庁での役割を終えた後、国立公文書館など国のアーカイブズ機関に移管され、永久に保存されることになります。一方、廃棄してもかまわないと判断された文書は、廃棄される直前に、内閣府と国立公文書館による再度の審査を経ることになります。
どのくらいの量を確認しているの? 毎年度350万件以上を目標に、省庁による移管・廃棄の設定について審査するほか、廃棄直前の再審査も行なっています。新太の数字は、令和6年度の実績です。
省庁による移管・廃棄の設定に関する審査 約353万件、廃棄直前の再審査 約402万件、移管するよう助言した件数 約4700件
公文書管理のためのさまざまな取組

国立公文書館が取り組んでいるのは、評価選別による審査だけではありません。
ここでは、近年力を入れている、さまざまな取組を紹介します。

1公文書管理制度の見直しへの協力

 公文書管理制度については、ガイドラインの改正が行われるなど、定期的な見直しが行われています。国立公文書館は、これまでの審査の経験・知見を踏まえ、移管基準の見直しについて提言するなど、公文書管理制度の見直しに協力しています。

1公文書管理の適正の確保のための取組への協力

 公文書を適正に管理するための取組の一環として、内閣府に公文書監察室が設置されました。国立公文書館は、公文書監察室からの依頼を受けて、省庁との意見交換に参加し、文書管理状況を把握したり、各省庁が抱える課題に助言するなど、適正な公文書管理に向けた取組に協力しています。

1行政文書の電子的管理への支援

 これまで紙で作成されることが主流だった公文書ですが、昨今のデジタル化の流れを受けて、電子で作成・保存することが原則とされました。国立公文書館は、政府が進める文書管理システムの整備に参画して、文書管理を自動処理化するための機能を提案するなどの支援を行っています。

1研修講師の派遣

 公文書の適正な管理のため、国立公文書館ではさまざまな研修を実施しています。また、省庁が主催する研修や市町村において行われる研修会、大学での講義などについて、依頼にもとづき、職員を講師として派遣する取組も行っています。

将来に残すべき公文書を適切に管理するためにも、しっかりと評価選別することが大事なんだね! このようにして評価選別された公文書が国立公文書館等で永久に保存されるんです。