「公文書の楽しみ方」
「公文書」と聞くと、字ばかりでつまらなさそうと思う人も少なくないかもしれません。けれど、実際に目の当たりにすると、その世界は意外なほど奥行きに満ちています。
まず注目したいのは、誰が書いたのかを想像すること。政策を立案するのは有名な政治家や官僚かもしれませんが、文書を作成しているのは現場で汗を流していた人達です。その立場や役割を思い描くと、紙の上に人物像が浮かび上がってきます。字体の癖まで眺められれば、書いた人の性格やその時の感情まで伝わってきます。
次に注目したいのは、作成された年。文書が書かれた時代背景を想像するだけで、文書の奥に流れる空気感が伝わってきます。戦後間もない混乱期なのか、経済成長の熱気に包まれた時代なのか、年号に注目することで、文書はぐっと「生き物」のような存在になります。
公文書には、それを書いた人の思いや考え、さらには当時の時代背景までもが刻まれています。公文書から過去の出来事を正確に読むこともとても重要ですが、そこに宿る人間の気配を「感じる」ことも楽しみ方の1つといえるのではないでしょうか。