平成28年度 第1回企画展 栄典のあゆみ―勲章と褒章―

明治時代に創設された勲章及び褒章について、その制度の変遷と、そこに関わった人々を通じて、今日までに至る栄典制度の歴史を振り返ります。

栄典とは

国家又は公共に対し功労のある方、社会の各分野における優れた行ないのある方などを表彰するものです。

西園寺公望(さいおんじきんもち) 大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)

西園寺公望(さいおんじきんもち) 大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)

昭和3年、「最後の元老」と呼ばれた西園寺公望に授与された大勲位菊花章頸飾です。当館では、西園寺公望が佩用(はいよう)し、後に西園寺家から寄贈された各種の勲章を所蔵しています。

勲章・褒章に関する制度の調査研究や勲章等の授与の審査などは、内閣府賞勲局で行なわれています。吉田茂や北里柴三郎の受賞に関する記録も国立公文書館に保存されていますよ。/受賞者については、ニュースなどでも大きく報道されているね!

勲章と褒章の種類

勲章

国家又は公共に対し功労のある方に対して授与されます。

種類 対象
大勲位菊花章
大勲位菊花章頸飾
大勲位菊花大綬章
旭日大綬章または瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のある方
桐花大綬章(とうかだいじゅしょう)
旭日章(きょくじつしょう)
瑞宝章(ずいほうしょう)
国家または公共に対し功労のある方
  • 旭日章…功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた方
  • 瑞宝章…公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた方

※それぞれ大綬章、重光章、中綬章、小綬章、双光章、単光章の6段階に分かれる

文化勲章 文化の発達に関し特に顕著な功績のある方

※上記の他に、外国人に対する儀礼叙勲等の特別な場合に、女性のみ授与される勲章として宝冠章があります。

褒章

特定の表彰されるべき事項について授与されます。

種類 対象
紅綬褒章(こうじゅほうしょう) 自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した方
緑綬褒章(りょくじゅほうしょう) ボランティア活動に従事し顕著な実績を挙げた方
黄綬褒章(おうじゅほうしょう) 農業、商業、工業等の業務に精励し他の模範となるような技術や事績を有する方
紫綬褒章(しじゅほうしょう) 科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方
藍綬褒章(らんじゅほうしょう) 会社経営、各種団体での活動等を通じて、産業の振興、社会福祉の増進等に優れた業績を挙げた方又は国や地方公共団体から依頼されて行われる公共の事務に尽力した方
紺綬褒章(こんじゅほうしょう) 公益のため私財を寄付した方

参考文献:佐藤正紀著、内閣府賞勲局編集協力『新版 勲章と褒章』(全国官報販売協同組合、2014年)

紅、緑、黄色…金色、そろえてみたいな!/簡単にもらえるものではないぞ

平成28年度第2回企画展 ようこそ地獄、たのしい地獄

この夏、皆様を「地獄」へご案内!?
平安時代末期~室町時代にかけて成立した説話文学を中心に、「地獄」にまつわる伝説・逸話を紹介します。

所蔵資料でみる、「地獄」の歴史

「地獄」という概念は、仏教伝来とともに日本人に受け入れられ、浄土信仰が広がった平安時代に一般化したといわれています。平安時代末期の源平合戦の時代を経て、混乱の時代がはじまると、さらに「地獄」は身近な存在として捉えられるようになりました。

今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)

今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)

平安時代末期に成立したと考えられる説話集。
嵯峨天皇(さがてんのう)に仕えていた公家の小野篁(おのの たかむら)が、同時に閻魔王に仕える冥官だった話など、様々な説話・伝承を伝えています。

現代にも、地獄をモチーフにした映画や漫画があるよね

『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などをはじめとした説話文学は、こうした混乱期に成立しました。当時のさまざまな階層の人々を主人公とし、多くの伝説・逸話を収録しています。特に「地獄」にまつわる伝説は多彩な性格を見せ、こうした死生観は後世の日本人の価値観にも大きな影響を与えました。

お盆は、地獄の釜も蓋を開けて休んでいるので、亡者が現世に戻って来ると言われています

多様なテーマの企画展

当館では、特別展(年2回開催)の開催中を除く期間に、多様なテーマによる企画展を開催しています。国民共有の知的資源である、歴史資料として重要な公文書等への親しみや関心を持っていただけるような展示を目指しています。
今年度の第3回企画展は今秋に開催予定です。お楽しみに!

夏休みイベントのお知らせ

昨年の館主催アーカイブズツアー(小学生対象)の様子

第2回企画展期間中、小学生、中高生を対象とした「館主催アーカイブズツアー」を開催します。実施日と申込方法については、PDF版の8ページをご参照ください。そのほか、申込不要でご参加いただけるイベントを企画予定です。夏休みは国立公文書館へ!

昨年の館主催アーカイブズツアー(小学生対象)の様子