国立公文書館で働くアーキビストにインタビューするこのコーナー、今回は今年4月にリニューアルオープンした国立公文書館デジタルアーカイブについて、電子情報担当者に聞きました!
今回のリニューアルについて
今回のリニューアルの一番大きなポイントは、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末からご利用いただけるようになったところですね。従来のデジタルアーカイブは、6年前に作られたシステムであり、当時の技術に制約されていましたので、技術の進歩にあわせました。また、ソーシャルメディア(ツイッター、フェイスブックなど)にも対応させました。お気に入りの資料を見つけたら、ツイッターボタンを押して、どんどん皆様で共有してください。
それから、利用者からお声の多かった画像の見にくさや使いにくさを改善するべく、ビューアを変更しました。その他、デジタル画像がある資料については、(デジタル画像を)ダウンロードする際に、高精細画像を選択できるようにしました。これは、もう少し良い画像が欲しいという利用者からの声に応えた機能ですね。せっかくの公的な知的資源ですから、有効に使っていただきたいと思っています。
このシステムでは、当館の所蔵資料の目録(平成28年4月現在139万冊)を検索することができます。今回のリニューアルで、子ども達を含む一般の方にも探しやすいように、重要文化財などの主な資料は、トップページの「主な資料を見る」にカテゴリ別に分類しました。
デジタルアーカイブの活用について
例えば教育の現場でも、使いやすくなったと思います。タブレット端末を使った授業等のコンテンツとしても利用いただきたいですね。また、学校のプリントを作ってもいいし、夏休みの自由研究や論文、チラシや刊行物など、商業活動に使っても構いません。今までは、専門家や研究者など、ユーザーが限られていたかもしれませんが、使いやすくなったことでもっと広がっていって欲しいですね。
デジタル画像の利用申請、料金について
デジタルアーカイブは、いつでも、どこでも、誰でも、自由に、そして無料で使えることを原則としています。デジタルアーカイブからダウンロードできる画像についても同様に、申請などを行なわず、無料で使っていただくことができます
当館は、特定歴史公文書等の保存と利用のための機関であり、デジタルアーカイブは、皆様に当館の資料を利用しやすくするためのシステムです。当館へ来館するのが難しい方のために、インターネット上で当館の所蔵資料に関する目録などのデータを検索できるようにしています。インターネット上にもう一つのアーカイブを作ったと考えていただければよいでしょうか。これは社会的なインフラみたいなものだと考えています。
デジタルアーカイブから閲覧できる画像数
現在、当館の資料は所蔵資料の約13%がデジタル化されています。これからも毎年、デジタルアーカイブの画像を増やしていく予定です。全資料をデジタル化するのが目標ではありますが、館の収蔵資料も毎年増え続けていくので大変です。
デジタルアーカイブの未来
以前は「デジタルアーカイブ」というと、紙媒体の資料をスキャンしてインターネットで閲覧できるようにすることを指していました。しかし現在では、より良いサービスを利用者に提供するため、他のシステムと連携することを前提とするようになりました。利用者の立場から考えると、自分が探したい資料が国内の公文書館のどこにあるか分からない場合、インターネットを介して一括で検索できたほうが便利でしょう? これからは、デジタル画像の作成と併せて、国内の公文書館の所蔵資料に関する情報の連携も進めていきたいと思っています。今回のリニューアルオープンをきっかけに、より多くの方に利用していただけるように願っています。
デジタルアーカイブから閲覧できる資料例