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27. 原田式力織機の発明(原田元治郎)

綿織物用の機械織機もまた在来の織物産業と結びついて発展しました。したがってその開発は、綿織物産業が盛んに行われていた大阪、愛知、静岡などの地域が中心となりました。綿織物用で初めての動力織機は、明治29年に愛知県の豊田佐吉が発明した蒸気による力織機でしたが、大阪では明治36年、原田元治郎(1859―1945)が、綿織物用の力織機を発明しました。

原田は、明治26年頃から開発に着手し、足かけ10年、私財を投じて発明を成功させました。原田式力織機は全国的にも珍しい全鉄製の力織機でした。これは、輸入物の外国製力織機に触れる機会が多い大阪では鉄製機械が当然のものとされ、地元の機械工業もそれを可能とするほど発達していたためと考えられます。原田はさらに工夫を加え、木製と鉄製の混製にすることで力織機の低価格化を実現させ、原田式は泉州(大阪南西部)では豊田式を上回る普及をみせました。原田はその後も織物業の発展に対応して織機の改良を行い、タオル用織機の開発を進めました。

展示資料は、大正6年原田元治郎が藍綬褒章を受章した際の文書です。

原田元治郎ニ藍綬褒章下賜ノ件
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