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18. 竹尺目盛器械の発明(藤村九平)

明治8年、度量衡に関する取締制度ができることを耳にした藤村九平(1856―1929)は、吉野川流域の豊富な竹材を用いて竹製の物指しの製造を始めました。藤村は、やがて物指し造りに関する様々な機械を発明し、機械工場藤村度器製作所を経営しました。物指しに目盛りを刻む機械は、工部省の元技師藤島常興が作成した「尺度画線機」が第一回内国勧業博覧会に出品され龍紋賞を受賞していましたが、藤村は、明治22年に苛性ソーダを用いた竹材の脱脂法を考案し、明治23年には足踏式目盛機械を発明するなど様々な竹加工器機を考案し、物指造りに関する一連の作業の機械化に成功しました。

展示資料は、大正3年に藤村九平に緑綬褒章が授与された際の文書です。文書には参考資料として、藤村が明治24年頃に考案した「竹鯨壱尺両目盛機械」「竹鯨二尺両目盛機械」の写真と発明品の解説が添付されています。「鯨尺」とは和裁用の寸法で、一尺で約38cmです。発明した機械の中に、物指し用に加工した竹材を入れると、鯨尺の寸法で目盛りが刻まれる仕組みになっていました。この後、目盛りに従って点を掘り、着色、仕上げ工程を経ると、竹尺が完成します。

藤村九平ヘ緑綬褒章下賜ノ件
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