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23. 緋友禅写染法の発明(岡島千代造)

モスリンとは、日本では、江戸末期から昭和前期に和服の生地や布団などに用いられて普及した薄地の毛織物のことです。軽く柔らかで絵柄の豊富なモスリンは、江戸後期にはフランス製品が輸入され、当初は高級和服地として注目を集めました。やがて開国を迎え、モスリンが大量に輸入されるようになると、その人気に着目した京都の織物業者は、モスリン生地に友禅染めを施そうとし、技術者達によって「モスリン友禅」を造る様々な方法が編み出されたのでした。 展示資料は、「緋友禅写染法」を発明した岡島千代造(1853―1921)が明治36年に緑綬褒章を受章した際の文書です。フランス製のモスリンの特徴は鮮やかな緋色(=深紅色)にあると考えた岡島は、染料の開発に取り組み、明治14年、輸入したコチュール染料を用いて理想的な緋色を作り上げました。そして、この緋色の変色を防ぐための蒸し加減と、色を定着させるための「写染法緋糊」を開発し、明治17年には、これらを用いた「緋友禅写染法」を発明しました。さらに、岡島は洋紅スカーレットの輸入によって「板揚糊写染法」を完成させるなど、その後もモスリン友禅の発展に尽くしました。

岡島等によって編み出された技法により技術面での安定化が図られると、モスリンは生産量を増大させ、急速に普及していきました。明治40年代には、機械捺染の開発により大量生産されるようになり、東南アジア方面への輸出が始められました。

岡島千代造ヘ緑綬褒章下賜ノ件
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岡島千代造

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