18 カスリーン台風

 昭和22年(1947)9月に発生したカスリーン台風は、関東・東北地方に記録的な大雨をもたらし、特に関東地方では、大雨による土砂災害や洪水・氾濫などにより、死者約1100人、家屋浸水約38万戸、家屋の倒半壊約3万戸以上という甚大な被害が生じました。
 9月8日に発生したカスリーン台風は、日本列島への接近に伴い本州に停滞していた前線を活発化させ、同月13日から15日まで各地で記録的な降雨をもたらしました。これにより15日には、利根川上流の赤城山麓や栃木県足利市などにおいて河川の氾濫や土石流が発生。16日には北埼玉郡東村(現加須市)の新川通地先で利根川堤防が決壊しました。新川通地先からの氾濫流は、17日から18日にかけて埼玉県東部各地に被害をもたらしながら南下し、東京都への氾濫水流入を止める最後の防衛線だった大場川桜堤(東京都葛飾区)に至り、18日午後7時頃に同所を決壊させました。これにより濁流が葛飾・江戸川・足立各区へ流れ込み、葛飾区の全域と江戸川区、足立区の約半分の地域が浸水しました。氾濫流は、20日午後に東京都江戸川区の新川堤防でようやく停止しました。
 カスリーン台風により、戦争で荒廃した国土の整備、特に河川整備の重要性が再認識されるようになりました。河川整備としては、昭和24年に治水、利水を目的としたダム整備を計画に取り入れた利根川改修改訂計画が策定されました。また、台風到来時に国会で審議途中であった災害救助法の制定にも影響を与えました。同法の審議にあたっては、台風の被害状況が度々報告され、台風対策に対する迅速な応急対応と治水事業に関する動議が提案されています。同法は、昭和22年10月18日に公布、同月20日から施行されました。資料は、災害救助法公布の際の閣議決定文書です。

災害救助法
請求番号:類03118100
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