大学院生時代は主に近現代の日中関係史について研究しており、論文を書く際の史料調査のため、よく外交史料館を利用していました。大学院修了後は名古屋近辺の大学で非常勤講師として働いていましたが、アジア歴史資料センターで求人募集があったことから、自分の専門分野を生かせるのではないかと感じ、加えて大学院生時代に何度も同センターのデジタルアーカイブを利用したことがあったため、なじみ深い印象を持っていたことからここで働いてみたいと思い応募。無事採用されたことで2011年から働き始めました。
アジア歴史資料センターは、他に先駆けてデジタルアーカイブを整備・公開した機関であり、主な業務はデータベースの構築や公開用の画像データの整備、検索用に史料の冒頭300文字等をデータ化する作業、またウェブコンテンツのための原稿執筆やウェブページの管理業務などを中心に行っていました。
ここでの思い出としては、2015年に終戦70周年を迎えるに当たり特設のウェブコンテンツを作成したことです。本来ならコンテンツ制作には半年ほど時間をかけますが、このときは時間がなく実質4ヵ月程度で作業しなければなりませんでした。あわせてプライベートでも時間を割かなければならなかったため、必死に作業する毎日を過ごして本当に大変でした。しかし、なんとか無事作成を終えて公開したところ反響がとてもよかったため、大きな達成感を覚えたことを今でも思い出します。
その後、2020年にアジア歴史資料センターから外務省外交史料館へ転職し、現在に至ります。当初、外交史料館ではアジア歴史資料センターに提供するためのデジタルデータ作成、および閲覧室業務・レファレンス対応等の仕事をしていましたが、現在はシステム担当として勤務しています。ただ、これまでシステム関連の業務に従事したことがなく、当初は知識ゼロからのスタート。既存システムの運用・保守はもちろん、システムの更新や予算要求にしてもITの知識は必要不可欠のため、毎日が勉強の連続でした。現在ではITに関する資格もいくつか取得することができ、まるで脳が若返った気分になりました。ただ、システム業務に従事する際に忘れてならないのは、その先に利用者がいるということです。自身のスキルアップが、最終的に利用者の役に立つという考えが仕事のモチベーションにつながっています。
日本のみならず、世界各国の先人たちがどのような人生を歩んだかを知ることは、とても興味深いことだと思います。それを記録した史料に触れられる場所として、外交史料館や国立公文書館があります。ですから、若い方にぜひ足を運んでいただき、外交史料館の史料や展示室をもっと活用してもらいたいと思っています。そして、私自身もシステムを通してそこに貢献していければと考えています。
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