アーキビストに聞く

元々歴史に興味があり、大学では日本史を、大学院では教育史を専攻しました。
歴史資料を扱う実習やゼミを通して、自然と資料の持つ重要性やその魅力に惹かれるようになり、国立公文書館をはじめとする各地の公文書館や、資料館等に足を運びました。調査の過程で、資料を必要としている人が必要なときに使えることの重要性に気づき、公文書館で働いてみたいと思うようになりました。
 国立公文書館では、これまで展示や広報に関する業務にそれぞれ5年間ほど携わり、昨年度からは学習支援担当の業務に就いています。
 展示担当としての印象深い出来事は、耐震工事で東京本館が使えなかった平成二十四年度に、初めて館外展示を行ったことです。京都と大阪の二ヶ所で行ったこの展示会は、開催場所に関連した資料を選定し、オリジナルな内容で構成しました。普段の展示会場とは異なる環境で、会場レイアウトを工夫したり、当館業務紹介コーナーを設けたりするなど、貴重な経験ができました。館外展示の取組は、この後、継続的に実施されています。
 広報係に所属していた時期は、平成から令和への改元と重なり、当館のオリジナルグッズとして発売したクリアファイル「平成」が、過去に経験がないヒット商品となったことが思い出に残っています。この商品を求めて、連日多くの方が当館に足を運んでくださいました。お買い求めくださったお客様をそのまま帰すのではなく、展示をご案内
学習コンテンツ 動画「女性参政権」より したり、再度の来館を促すお声がけをしたりするなど、リピーターになっていただくための取組を積極的に行いました。
 現在担当している学習支援は、新館を見据えて、若年層の方にも当館を活用いただきたいとの思いから立ち上がった部署です。昨年度は、学習コンテンツを新規制作・公開したほか、中学校や高等学校に足を運び、当館所蔵資料を用いた出前授業を行いました。出前授業では、生徒さんに対し、当館デジタルアーカイブやコンテンツを用いて、明治~昭和期の資料に書かれた内容を実際に読み解く体験を行っていただきました。資料読解から得られた気付きを、仲間同士でディスカッションし、発表を行うという一連の流れから、資料を読み解く楽しさを味わってもらえたように感じます。授業後は、生徒の皆さんに当館にご来館いただき、実物の資料に触れる場も設定しました。これらの取組を通して、主体的に考える教育の一助になればと考えています。このほか、キャリア教育への関与など、学習支援業務はアイデア次第で様々な挑戦ができるため、とてもやりがいをもって励んでいます。
 今後は、学習支援業務を拡充し、特に若年層の方に対する学びの場として、当館を積極的に活用いただけるようになればと期待しています。