私がアーキビストを目指すようになったきっかけは、大学院在学中にアーカイブズの授業を受けたことです。理系の学部を卒業し、大学院では医療情報関連の研究をしていましたが、アーカイブズ学の面白さに惹かれ、公文書館・アーキビストの仕事に興味を持つようになりました。
そんなとき、当館での公文書専門員(非常勤)の募集を見つけて応募したところ、採用されました。まったく違う分野に飛び込むことへの不安はあったものの、周囲の方々に支えていただきながら経験を重ね、大学院の卒業後は公文書館専門職員(常勤)として勤務しています。
入職当初は業務課電子情報係に配属され、デジタルアーカイブの管理補助等を担当しました。その後に異動した総務課では、広報担当として、公文書館ニュースの制作に携わったり、SNSの毎日更新や同僚の発案した「ふらっとツアー」(個人のための事前申込不要の館内バックヤードツアー)の実現に向けて一緒に動いたりするなど、開かれた公文書館づくりに注力しました。
広報で2年過ごした後、つくば分館へ異動となりました。ここでは、展示企画や閲覧室対応、利用請求の受付やレファレンス対応など、幅広い業務を担いました。夏休み期間には、多くの小学生が分館の展示や三つ目綴じ体験に訪れてくれました。分館に3年ほど勤務した後、本館の業務課利用係へ異動となりました。利用の窓口として多くの方々と接することで、当館の所蔵資料をご利用いただくためには、まず、当館とはどういう施設であるかをご理解いただくことの重要性を感じました。その後、現在の統括公文書専門官室の評価選別担当に異動となりました。評価選別は、行政機関が作成した行政文書の保存期間の満了前と満了後の段階で、公文書館に移管して永久的に保存するか、それとも廃棄するかを専門的な立場から助言するのが主な仕事です。行政機関としては廃棄するつもりの文書でも、各行政機関の基準に基づきながら、当館の観点から歴史的に重要な文書だと判断すれば、「この文書は移管が適当ではないか?」と行政機関へお伝えします。
こうやって振り返りますと、分館も含め、国立公文書館のほぼ全ての課室を担当してきたことになり、アーキビストとして、とても貴重な経験を積ませていただきました。様々な部署を歴任した自分のキャリアは、いま担当している業務とは別の業務を理解し、連携するうえで大きく役立っていると感じています。
公文書館の仕事は、所蔵資料と利用者をつなぐ「架け橋」と表現されることがあり、これはとても的を射た例えだと思います。この公文書館の架け橋は、実際の橋が沢山のパーツで構成されているように、多くの専門的な業務がしっかりと組み合わさり、形成されています。また、そうしたアーキビスト達の連携は、所蔵資料を現在の利用者につなぐだけでなく、未来の利用者へつなぐために必要なものだと考えています。
つながって、つないでいく。とても個人的な視点からですが、アーキビストの仕事とは、そういう仕事だと思っています。
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