テーマで学ぶ今号のアーカイブ「資料の保存」

御書物奉行誓詞 ごしょもつぶぎょうせいし

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御書物奉行誓詞

【請求番号:多012357】

 徳川将軍の図書館・アーカイブズであった紅葉山文庫の施設と蔵書は、書物奉行と書物同心で構成される書物方が管理していました。
 画像は、書物奉行を務めた石川次左衛門政勝が、老中の水野和泉守と大目付の神保佐渡守あてに4月21日に提出した誓詞(誓約書)の写しです。石川は誓詞の中で、「御書物」(紅葉山文庫の蔵書)を大切に扱い虫に食われぬよう入念に手入れをすること、無断で貸し出したり写したりしないこと、出入りの業者から金品を一切受け取らないことなどを誓っています。

古器旧物各地方ニ於テ保存

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古器旧物各地方ニ於テ保存

【請求番号:太00097100】

 明治維新後、神仏分離令による廃仏毀釈や、古い物や古い風習を否定する風潮の広まりから、寺社等の宝物や古美術品類は、散逸の危機に瀕しました。「古器旧物各地方ニ於テ保存」は、明治4年(1871)5月23日に発せられた、各地の古器旧物を祭器、古書画、衣服装飾等31の品目に分類して保全し、品目及び所蔵者を記載して提出するよう命じる太政官の布告です。
 古器旧物を「細大を論ぜず厚く保全」するよう示したこの布告は、日本古来の美術・工芸への再認識と保存思想の普及を促し、明治5年の文部省の古美術調査(壬申調査)をはじめとする美術品・物産調査のきっかけとなりました。