おしえて、こぶんちょさん!! キーワードで学ぶ国立公文書館のお仕事 公文書にまつわる様々な疑問を取り上げながら、国立公文書館の業務とそれにまつわるキーワードとを一緒に学ぶコーナーです。

Q:劣化・破損している紙媒体の公文書はどうやって修復しているの? A:損傷の程度に合わせて、繕い・裏打ち・
リーフキャスティングなど、様々な方法で修復します。


 公文書の中には、経年による劣化に加え、過去に虫やネズミ等による食害・水害・煙害・酸性劣化等によって損傷を受けたため、閲覧等の利用に支障をきたしているものも多くあります。これらは専門的技術を持った職員が損傷の程度を見極め、手作業や機械を用いて修復します。
 手作業による代表的な修復技法には、破損・欠損箇所の形に合わせた和紙を生麩糊しょうふのりで接着させる「繕い」や、裏面全体に和紙を接着させる「裏打ち」があります。

 また、機械を用いる修復技法には、「リーフキャスティング」があります。これは、専用の機械で和紙の原料を水とともに欠損箇所に流し込み、欠損箇所を補う作業です。
 いずれの技法も、処置を行う前に、公文書の解綴かいてつ、付着した埃や汚れの除去(ドライクリーニング)、しわ伸ばし、錆びたクリップやホッチキスの針の除去など、必要な工程を経てから実施します。





キーワード 両面打ち → 脆弱化した公文書の表面と裏面に極薄の和紙を接着させ、両面から紙を補強する処置のこと


文字の判読を阻害することなく、紙を補強するための工夫



 紙が脆弱化し、取り扱いが困難な公文書には、必要に応じて「裏打ち」の修復技法を用い、裏面から紙力を強化します。

 しかし、公文書には表と裏の両面に文字の記載があることが多いため、「両面打ち」という修復技法を選択することもあります。「両面打ち」では、大変薄い機械漉きの和紙を、表面と裏面の両方に接着させて、紙力を強化します。文字の上に和紙を接着させても、文字の判読を阻害することなく閲覧できるように、工夫をしています。


こぶんちょ

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