公文書に学ぶ 大人の美文字講座

公文書の数だけ文字がある。公文書の中には、美文字のヒントがたくさん隠されています。日本書道師範の涼風花先生が当館所蔵資料の美文字ポイントを解説します。
涼 風花(りょう ふうか)先生


「三十六人歌合」
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今号の美文字資料
「三十六人歌合」
(請求番号:特118-0008))

「三十六人歌合」は、在原業平ありわらのなりひら小野小町おののこまちなど「三十六歌仙」と称される歌人たちの名歌を一首ずつ選び、歌合の形式で左右編集した歌集です。青蓮院流しょうれんいんりゅうの書家でもあった近衛前久このえさきひさ(1536〜1612)によって文禄3年(1594)9月に書写されたものと考えられています。柿本人丸の作と言われる「ほのぼのとあかしの浦のあさ霧にしまかくれゆく舟をしぞおもふ」の歌は、歌枕でもあった明石の浦を舞台に、朝霧の中で島かげに消えゆく舟を思う気持ちを詠んだものです。

涼先生の美文字解説

点画の骨組みを残し、
柔らかく崩した行草書

行草書を書く際、元の文字を意識して書くことが重要です。「志」の「心」の部分は省略すると「れっか」という部首と似ているので、「心」は「れっか」よりも動きをつけるなど、元の文字を意識して書き分けます。また、草書は書き手によって文字のくずし方が変わることも。例えば「霧」の「攵」の書き方を見ると、引っ掛けてあるような線が2本ありますが、さらに省略されて1本になることもあります。全体を見ると、草書としては強めにしっかりと書かれており、点画がかなり残っているのが特徴的です。その中で、筆のあらゆる面をパタパタと切り替えて、太さや線質を変えていることが分かります。自身の勉強になるので一度臨書したいです。

「志」「霧」


今号の手習い「建」

point

形の変化に要注意

「本」は楷書と形が変わるので、注意が必要な文字です。1画目から2画目の起筆に移るときは左から回してつなげ、2画目と3画目は紙の上では見えない運筆で繋がるように、大きく回して紙へ戻って来ます。右払いは抜ききらずに短く終わりましょう。