公文書に学ぶ 大人の美文字講座

公文書の数だけ文字がある。公文書の中には、美文字のヒントがたくさん隠されています。日本書道師範の涼風花先生が当館所蔵資料の美文字ポイントを解説します。
涼 風花(りょう ふうか)先生


民撰議院設立建白書
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今号の美文字資料
「民撰議院設立建白書」
(請求番号:建00012100)

征韓諭に破れて下野した元参議板垣退助、後藤象二郎、江藤新平、副島種臣等8名は、明治7年(1874)1月、政府の左院宛てに民撰議院設立建白書を提出しました。後の自由民権運動に大きな影響を与えた文書として、広く知られています。本資料は、建白書の提出を受けた左院が、正院に同書を上陳したことを示す文書です。

涼先生の美文字解説

鋭く緊張感のある楷書

元顕儁墓誌銘げんけんしゅんぼしめい 」という古典のように入筆や払いに鋭さがあり、緊張感のある文字が特徴です。「別」「外」などは、一画一画針を通す様な細さです。「之」などの右払いは、一度止まってから右へ払い抜ける線の長さが通常より長く、直線的でよく目立っています。また、左払いは、ゆとりを持たせて払っているので、直線と曲線のバランスが取れていて馴染みやすい印象です。「議」などの左払いを見ると、涼 風花先生弧を描くような丸みがあることが分かります。あまり太い線がないところも読みやすいポイントと言えます。

「別」「外」「之」「議」


今号の手習い「建」

point

等間隔で長さが違う横画

最終画の右払いは、筆圧の変化に気をつけて丁寧に払っていきます。だんだんと筆圧を加えて一度止めてから、リズムを付けて払うのがポイントです。横画が多いので、線と線の幅は詰めて等間隔に書くようにしましょう。横画の長さは全部同じではなく、長さを変えて書くのもポイントです。




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