あの日の公文書 12月20日 道路交通法施行記念日 時代の要請に応じて「変化」
御署名原本
「道路交通法の施行期日を定める政令」の公布原本(御署名原本)。

 1960(昭和35)年の12月20日、「道路交通法」が施行されました。
 高度経済成長に伴いモータリゼーションが急激に進展した結果、交通事故による死者が急増。1946(昭和21)年に年間約4,400人だった死者数は、1959(昭和34)年にはついに1万人を突破。翌年も1万2,000人を超え、"交通戦争"という言葉も生まれ、深刻な社会問題となりました。
道路交通法は、こうした状況を背景に同年6月に制定されたのです。

自動車で混雑する千代田区祝田橋交差点の様子
自動車で混雑する千代田区祝田橋交差点の様子(昭和35年撮影)。当時は自動二輪車のヘルメット着用義務がなかったため、手前のバイクに乗っている男性は帽子を被っている。(画像提供:東京都)

 同法は、その後も酒気帯び運転に罰則を規定、全ての道路での自動二輪車のヘルメット着用義務化、高速道路等における助手席、一般道における運転席・助手席でのシートベルト装着を義務化するなど、時代の要請に応じて改正されてきました。
 取り締まりの強化、法律の厳罰化、自動車の安全技術の進歩などにより、死者数は年々減少し、2016年には、1950年以来初めて4,000人を下回る3,904人まで減りました。しかし、飲酒運転や危険ドラッグ使用者による事故など、悲惨なケースは後を絶ちません。

自動運転車
自動運転車が実用化される時代には、どのような法律が生まれるのだろうか。

 近い将来、人間がハンドルやアクセルを操作しなくても、自動車が安全に目的地まで連れて行ってくれる「自動運転車」が公道を走る日が来るかもしれません。道路交通のあり方が大きく変化する中で、「交通死亡事故ゼロ」の達成に向けて、道路交通法は今後、どんな変化を見せていくのでしょうか。