花押(かおう)とは図案化された署名(サイン)のことです。今日でも閣僚が公文書等に花押を使用していますが、実は、花押には様々な形式があります。
初回に取り上げるのは初代首相の伊藤博文。花押は「博文」の草書体をそのまま使っている、とてもわかりやすい花押です。上の部分が「博」、下の部分が「文」。「博」の寸の点と「文」を重ね合わせています。上部を密にし、下部に余裕を持たせることで、ゆったりとした1文字のように見せています。このように2字を合わせて1字のような形に書く形を「草名体」といいます。他、「一字体」「二合体」などの形があります。
公文書を読む際に、花押にも着目してみることで、その人物のまた違った一面に触れることができるかもしれません。
伊藤博文(いとう ひろぶみ)
[1841 - 1909年]
山口生まれ。松下村塾に学び、木戸孝允、高杉晋作らと共に討幕運動に活躍。明治政府において帝国憲法の制定、天皇制の確立に尽力した。1885年内閣制度を創設し、初代内閣総理大臣に就任した。枢密院議長・立憲政友会総裁歴任、日清戦争遂行など明治時代を牽引した一人。