つくば分館お仕事紹介 〜実は、こんなことをしています!〜

 茨城県つくば市にある国立公文書館つくば分館。歴史資料として重要な公文書その他の文書を永久に保存し、皆様の利用に供するため、ここでは、①行政機関等からの文書の受入れ ②文書を虫やかびから守るためのくん蒸 ③文書を適切に保存し、利用に供するための目録作成 ④保存環境を整えた書庫への排架などの業務を行っています。今回は、こうしたつくば分館の業務や、つくば分館で行っている展示会も紹介します。

01

永久保存への入り口

[受入れ]

 国の行政機関、独立行政法人等、行政機関を除く国の機関(司法府)から移管された文書、個人等から寄贈・寄託の申出のあった文書のうち、つくば分館では、紙媒体の文書を受け入れています。これらを受入れから1年以内に利用に供するため、綿密なスケジュールの下で、保存と利用のために必要な作業を行っています。
 各機関等からつくば分館に文書が運び込まれると、搬入された文書と各機関等から提出されたリストを1冊ずつ照合し、誤送等の不備がないかを確認します。

02

かび・虫害から公文書を守る

[くん蒸]

 受け入れた文書は、かびや虫害による劣化を防ぐため、また、書庫や既存の文書への生物被害を防ぐため、くん蒸処理を施します。くん蒸には、つくば分館に設置された減圧式くん蒸装置を使用。まず装置の中を減圧し、そこに酸化エチレンを主剤とした専用ガスを注入します。その後、24時間にわたりくん蒸し、作業が完了したら9日かけてガスを抜くため、一連の作業に10日程度の日数を要します。

03

適切に保存し、利用に供する

[目録作成]

 受け入れた文書を適切に保存し、利用に供するために、1冊ごとに目録を作成し、受入れから1年以内に「国立公文書館デジタルアーカイブ」で公表しています。
 まず、1冊ごとに識別を容易にするための番号である請求番号を付与します。次に、1冊ごとに、分類及び名称、移管または寄贈・寄託をした者の名称、これらを受けた時期、保存場所、請求番号などの情報を記載した目録を作成します。目録に採録する情報は、原則として原本に記載された情報から転記します。例えば、簿冊の名称は、原本の表紙や背表紙に記載された標題を確認しながら採録します。

04

適切な環境のもと、永久に保存する

[保存]

 受け入れた文書は、目録を作成した後、東京本館とつくば分館の専用書庫に排架します。
 つくば分館の書庫は、紙媒体の文書を保護するため、温度22℃、相対湿度55%に保たれた環境となっています。照明は、紙・インクの変色を防止するため、紫外線を除去した蛍光灯を使用しています。このほか、火災に備えて、煙感知器、消火の際に文書等への影響の少ないイナージェンガス噴射による消火設備を設置するなど、紙媒体の文書を永久に保存するため、環境整備に努めています。

豆知識

公文書の1年間の受入れ数と内訳(令和3年度)

 令和3年度につくば分館で受け入れた文書は、約45,000 冊。その内訳は、行政機関が42,718冊、独立行政法人が7冊、司法文書が1,551冊、寄贈・寄託が314冊で、段ボール箱数に換算するとおよそ4,600箱にのぼります。最も多くの文書を受け入れる4月は作業室が段ボール箱で埋め尽くされます。令和3年4 月には約2,900箱もの文書がつくば分館に運び込まれました。

排架とラベル

 受け入れた紙媒体の文書は、行政文書の場合、移管元機関、保存期間満了年度、保存場所、1冊ごとの番号を記載したラベルを貼って書庫に排架します。

 効率的な保存及び利用時の利便性を確保するため、「出所の原則」(出所の異なる公文書等を混合させてはならない)などを参考にしつつ、体系的に排架を行う上で、ラベルは重要な役割を果たします。

 例えば、右のラベルは、平成24年度に保存期間が満了し内閣府から移管された文書で、つくば分館に排架されていることを示しています。

地元つくばの歴史に触れられる常設展

 つくば分館の常設展示室では、所蔵資料の中から、足利尊氏や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康らが残した文書、「日本国憲法」の公布原本など、教科書で学んだことのある人物や出来事に関する資料を中心に展示しています。このほか、江戸時代中期に描かれた「常陸国筑波山上画図(ひたちのくにつくばさんじょうがず)」や1970年に公布された「筑波研究学園都市建設法」の公布原本など、地元つくばに関連した資料も展示しているのが大きな特徴です。

※展示資料はすべて複製

子どもも興味津々!
家族で楽しめる企画展も開催

企画展リーフレット
(令和4年度)

 つくば分館では、主に春と夏に企画展を開催しています。夏の企画展は、つくば市が主催する小中学生向けイベント「つくばちびっ子博士」事業に協賛して開催しています。パネル展示がメインですが、令和4年度夏の企画展「なぞとき公文書館」では所蔵資料の原本を展示するなど、国立公文書館により一層興味を持っていただけるように工夫を凝らしています。展示会情報は国立公文書館ホームページでお知らせしますので、ぜひチェックしてみてください。

「三十六人歌合」の原本展示
(令和4年度)

家族連れでにぎわいを見せた企画展
(令和3年度)

ACCESS

【つくば駅(つくばセンター)からバスを利用する場合】

  • ・ 関東鉄道バス「テクノパーク大穂(おおほ)」行き(約30分)→
    「国立公文書館つくば分館」下車すぐ

  • ・ つくバス(北部シャトル)「筑波山口」行き(約26分)→
    「つくばウェルネスパーク」下車→徒歩(約13分)

  • ・ 関鉄パープルバス「下妻駅(しもつま)」行き(約29分)→
    「北部工業団地入口」下車→徒歩(約18分)

  • *つくば分館は、つくばセンターから約12kmです。

【お車を利用する場合】

  • ・ 常磐自動車道「谷田部」インターより約18km

  • ・ 常磐自動車道「桜土浦」・「土浦北」インターより約16km

  • ・ 圏央道「つくば中央」インターより約14km

国立公文書館 つくば分館

〒300-4246 茨城県つくば市上沢6番6号
電話:029-867-1910(代表)
FAX:029-867-1939