アーキビストに聞く

私が国立公文書館で働き始めたのは平成26年からです。元々、幼少期から祖父母と一緒に時代劇を見るなど、歴史が身近にある環境でした。そのため、自然と歴史に興味を持つようになり、大学では歴史学、大学院では特に近代史の研究に没頭しました。

 大学院時代、研究の一環で国立公文書館に足を運び、資料を閲覧したことがあります。その際、単に資料と思っていた公文書から感じられる作成者の思いやその時代の空気感に触れ、「こういう面白いものに囲まれた職場で働いてみたい」という思いが強くなりました。

 採用時の担当は異なりましたが、その後、展示担当になり、平成27年度の企画展「昭和20年」を企画しました。企画展では実際に足を運ばれた利用者の方からの質問や感想を伺う場面が多く、そうした声を次の展示にいかすなど、公文書館で働く上で大きな経験になりました。その後、総務課に異動となりしばらく資料に触れる機会はなくなりましたが、公文書館がどのように運営されているかを俯瞰することができ、当館をより深く知ることができました。

 アーキビストの仕事は、重要な資料の中身を正しく把握し、区分けして未来へ残すことはもちろん、そこに記載されている内容を共有することも大切です。だからこそ、多くの方に当館の展示会や閲覧室に足を運んでいただき、資料の現物に触れていただきたいと思っています。公文書は一見とっつきにくい印象を持ちますが、文字の書き方や印鑑の押し方など、資料の先にあるその時代特有の息吹を感じることができる魅力あふれるものです。そうした歴史の記録に触れ、過去を知り、さまざまなことに思いを巡らすきっかけにしていただければ嬉しいです。

平成29年に行われた企画展「翔べ 日本の翼 ―航空発達史―」のギャラリー・トークにて、来場者に展示資料の見どころを解説する鈴木さん

平成30年に開かれた秋の特別展「躍動する明治 -近代日本の幕開け-」にて、展示解説会の様子