公文書に学ぶ 大人の美文字講座

公文書の数だけ文字がある。公文書の中には、美文字のヒントがたくさん隠されています。日本書道師範の涼風花先生が当館所蔵資料の美文字ポイントを解説します。
涼 風花(りょう ふうか)先生


太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書
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今号の美文字資料(請求番号:太00224100)
太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書

明治5年(1872)11月9日、太陰暦を廃し、太陽暦を採用する詔書が発せられ、太政官布告第337号により公布されました。1年を365日とし、それを12月に分け、4年毎に閏年をおくこと、1日を24時間とすること、旧暦の明治5年12月3日を新暦の明治6年1月1日とすることが定められました。

涼先生の美文字解説

起筆の鋭さに感じる緊張感

筆の穂先を使って書かれた直線的、かつ緊張感のある楷書です。「詔」や「書」の文字を見ると分かるように、線と線の間がきっちりと等間隔に詰まり、字の形も全て綺麗に整っています。その文字の美しさに思わず惚れ惚れとしてしまう文書です。「年」や「至」の文字からうかがえるように、起筆が鋭く、全体的に右上がりに統一されている印象を持ちます。また、カタカナは漢字の一部を抜き出したものと言われますが、漢字同様に直線的でスッキリとした線で書かれています。平仮名やカタカナは漢字より少し小さめに書くことを意識するとメリハリがつき良いでしょう。この文書全体からは書き手の高い集中力と、真面目で繊細な人柄が頭に浮かびます。

「詔」「年」「至」


今号の手習い「書」

point

幅のバランスと余白を意識して

1画目、2画目の横画は少し離して書き始めると、字の中に余白が生まれ美しくなります。3画目以降の横画は全て等間隔になるように書いていきましょう。「日」の部分は幅を意識して横に広く書き出し、縦画を内側に引き締めるように意識しましょう。