令和2年(2020)は東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。当館ではその開催期間の前後を含め大会の開催を記念した展示会を開催します。
第1回企画展では、日本の近代スポーツの前史として、「武芸」を取り上げます。「武芸」の歴史を古代まで遡り、戦場での「武芸」や儀礼としての「武芸」、見世物としての「武芸」、そして泰平の世となり戦場で戦うことがなくなった江戸時代の武士たちの「武芸」など、時代とともに武士の姿と武芸の性格が変化していく様相をご紹介します。
戦を知らない江戸時代の武士にとって、狩猟は、戦の場で求められる組織的な行動を学ぶ機会であり、身体鍛錬の場でもありました。
『大狩盛典』は、歴代将軍の狩猟に関する記録集です。特に享保・寛政・嘉永年間に行われた小金原(現在の千葉県松戸市)での大規模な鹿狩りの狩猟記録や御狩場の様相、狩りに動員された役人たちの羽織りの図版等が記されています。紅葉山文庫所蔵、全163冊34鋪2軸。
『小笠原礼書』
泰平の世となった江戸時代。衰退していった武芸を再興させるため、8代将軍徳川吉宗は、古来の弓馬故実等の書物を閲覧していました。当館にはその書物や閲覧の記録が残されています。そのひとつが『小笠原礼書』と呼ばれる武家故実書でした。
『小笠原礼書』は、小笠原流の犬追物・流鏑馬・笠懸等武家の弓馬の故実を伝える武家礼式の書物で、弓馬の故実だけでなく、器物の取扱法・配置法・書式・挨拶法等についても記されています。紅葉山文庫所蔵、全46冊12軸。
当館では、国民共有の知的資源である公文書等の適正な管理を支え、かつその永続的な保存と利用を確かなものとする専門職(アーキビスト)の育成に取り組んでいます。その一環として、平成30年12月にアーキビストの職務と必要とされる知識・技能を示した「アーキビストの職務基準書」を確定しました。
これを踏まえ、当館では、外部の有識者からなるアーキビスト認証準備委員会を平成31年3月に設置し、専門職としてのアーキビストの確立と、その信頼性・専門性の確保を目的とするアーキビスト認証制度の創設について検討を進めています。同委員会を令和元年12月までに4回開催し、その成果として「アーキビスト認証制度に関する基本的考え方」をとりまとめていただきました。この基本的考え方には、アーキビスト認証制度の目的・位置づけ、資格の名称、申請要件、審査方法、更新制度やレベル分け導入等、制度の大要が示されています。
当館では、この基本的考え方に基づき、アーキビスト認証制度の創設に向けた準備を進め、令和2年度中の認証開始を目指し取り組んでいます。
アーキビスト認証準備委員会の様子
「アーキビスト認証制度に関する基本的考え方」表紙