公文書に学ぶ 大人の美文字講座

公文書の数だけ文字がある。公文書の中には、美文字のヒントがたくさん隠されています。日本書道師範の涼風花先生が当館所蔵資料の美文字ポイントを解説します。
涼 風花(りょう ふうか)先生



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今号の美文字資料
「帝都復興審議会官制ヲ定ム」
(請求番号:類01455100)

大正12年(1923)9月1日に発生した関東大震災。未曾有の大災害により、東京の中心部は大きな被害を受けました。遷都も検討されましたが、山本内閣は被災地の復興に取り組むことを決定。同12日に提出されたこの資料では、東京その他の被災地復興に関する重要案件を審議する、帝都復興審議会の概要が定められました。審議会の設置理由として、震災地の復旧を急務とすること、首都であり文化の中心である東京の復旧には慎重講究を尽くす必要があることがあげられています。

涼先生の美文字解説

現在につながる風格ある楷書

楷書が広く普及した唐の時代を代表する書家「 欧陽詢おうようじゅん 」の「 九成宮醴泉銘きゅうせいきゅうれいせんめい 」に非常に近いものを感じます。楷書の中でも現在の教科書体としてベースになっている古典なので、馴染みがあり読みやすい文字なのではないでしょうか。字形は縦長ですが、重心が低くどっしりとしており、入筆が鋭く線に丸みがありません。左の資料は「興」の縦画二本の反り(背勢)、涼 風花先生「一」の入筆の鋭さ、「閣」「關」の門構えなど、楷書の基礎ともいわれる書体に近く、風格を感じさせる点が特徴的です。

「興」「一」「閣」「關」


今号の手習い「復」

point

払いの角度に注意を払う

「復」は払いが多い文字ですが、払いの角度に注意しましょう。1画目、2画目の払いはそれぞれ向きが少し違います。1画目は横へ、2画目は縦方向に払いぬける意識で書くと動きが出ます。また、10画目は縦、11画目は横へ払うようにこちらも角度を変えて払ってみましょう。




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