13 室戸台風

 昭和9年(1934)9月21日、高知県室戸むろと岬付近に上陸し、京阪神地方に甚大な被害を及ぼした室戸台風。台風の正式な統計は昭和26年から開始されたため、参考記録扱いですが、上陸時の気圧911.6ミリバール(現ヘクトパスカル)は、日本の台風観測史上最も低い中心気圧として記録されています。
 台風は、21日の午前5時頃室戸岬に上陸した後、紀淡きたん海峡を進んで午前8時頃大阪と神戸の間に再上陸しました。この時、大阪湾では満潮を過ぎていましたが潮位は高く、最大瞬間風速が秒速約60メートルという強風により4メートルを超える高潮が発生、海水は大阪城付近まで進入し被害を及ぼしました。また、強風により、学校、工場、神社、仏閣などの大建築の倒壊や列車の転覆などが発生し、多くの犠牲者を出しました。特に、大阪市内では登校時間にあたる午前8時頃が最も台風の勢力が強かったため、学校の教職員や児童をはじめ保護者までも校舎の倒壊に巻き込まれ、多数の死傷者を出しました。大阪市内の小学校244校のうち、被災を免れたのは鉄筋コンクリート造及び当時の昭和3年以降の耐震基準で建設されていた校舎のみでした。
 室戸台風の経験をふまえ気象台では、それまで台風時の風速10メートル以上の風について一律暴風警報としていたところを、暴風発生のおそれがある場合は「気象特報」、重大な災害が発生するおそれがある場合は「暴風特報」とし、翌年からそれぞれ個別に発表するよう変更しました。資料は、昭和9年9月21日午前6時の天気図です。

天気図原図(昭和9年9月21日午前6時)
請求番号:昭47 気象00133100
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