T. 災害発生 ―対処と制度―

 突然の災害に見舞われた国民に対して、政府はどのように対応していったのでしょうか。ここでは、明治5年(1872)の浜田地震、明治21年の磐梯山ばんだいさんの噴火、明治24年の濃尾地震のうびじしんに関する資料から、被災者救済制度をはじめとする、政府の災害対策について見ていきます。
 自然災害に限らず被災者への対策は、明治4年に県治条例附則「窮民きゅうみん一時救助規則」に始まります。この規則では「窮民」に一定の救助金が政府から支給されることが定められました。しかし、実際には、災害発生から時が経過しても生活困難により「恒常的」な「窮民」となってしまう例が多くありました。「窮民」の救済は、地方制度を含め法治体制が次第に整っていくなかで、恒常的なものへの救済と一時的なものとに分けられていきます。具体的には、恒常的な「窮民」には政府による恤救じゅっきゅう規則(明治7年)により、一時的な「窮民」には国と地方とが一定の割合で負担する備荒儲蓄びこうちょちく法(明治13年)により、それぞれ救済されることとなりました。

ページのトップへ戻る