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勲章と年金

勲等年金令 [請求番号: 太00251100]

 諸外国の制度では、叙勲者に年金が支給される例が多く見られました。我が国でもこれにならい、明治9年(1876)に勲等年金令が定められ、受けた勲章の勲等に従い、年金が支給されることになりました。展示資料は勲等年金令について賞勲局が提出した伺書うかがいしょ、及び、年金支給の対象者に発行された勲等年金証票の雛型です。

 勲等年金令での規定によると、勲一等は年額800円、勲二等は600円、勲三等は360円、勲四等は180円、勲五等は120円、勲六等は84円、勲七等は60円、勲八等は36円の年金を終身受けることができました。この金額は、その後、勲等別の金額に幅を持たせたり、物価の変動に伴い引き下げられたりしています。大正4年(1915)には、それまで年金が支給されていなかった勲一等旭日桐花大綬章授章きょくじつとうかだいじゅしょう者にも年金が支給されることとなりました。軍人・軍属で武功抜群な者に授与される金鵄きんし勲章は明治23年(1890)に制定されましたが、金鵄勲章の年金支給は明治27年(1894)からです。

 しかし、金鵄勲章の年金も勲等年金も昭和16年(1941)に廃止され、以後の授章者には年金が支給されないこととなりました。さらに昭和22年(1947)5月3日施行の日本国憲法では、第14条第3項に「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」と規定され、現在運用されている勲章制度には、年金その他の特典はありません。
(佐藤正紀著・内閣府賞勲局編集協力『新版 勲章と褒章』全国官報販売協同組合、2014年を参照した)

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