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親授式とは

 勲章の親授式(天皇陛下が直接勲章を授章者に渡す儀式)は、文化勲章、大勲位菊花大綬章、桐花大綬章、旭日大綬章及び瑞宝大綬章の授与に際して行われます。

 式は、宮殿松の間で行われます。玉座の前に天皇陛下がお立ちになり、内閣総理大臣、宮内庁長官、宮内庁式部官長、内閣府賞勲局長、内閣府賞勲局総務課長が侍立します。賞勲局長の前の小卓には授章者にお渡しする勲章を載せたお盆と勲記が置かれ、賞勲局総務課長の前のテーブルには、次に親授される授章者の勲章と勲記が置かれています。授章者は、松の間前の廊下に控え、一人ずつ宮内庁職員から名前を呼ばれて松の間に入ります。

 授章者は、松の間に入ると、天皇陛下に一礼してから陛下の前に進みます。そして陛下の直前で再度お辞儀をします。賞勲局長から、お盆に載せられた勲章が内閣総理大臣に渡され、内閣総理大臣は天皇陛下に歩み寄り、勲章を捧げます。陛下は勲章を受け取り、授章者にお渡しになります。授章者は勲章を受け取り、一歩下がってから総理大臣の方へ向きを変え、進み出ます。内閣総理大臣は、賞勲局長から勲記を受け取り授章者にお渡しし、授章者は後進して陛下の御前に戻り、陛下に一礼してから向きを変え、松の間の出口まで戻り、陛下のほうへ向き直り一礼してから退出します。これで一人の授章者に対する親授は終わります。

 親授式が終わると、授章者は勲章を着けて配偶者とともに天皇陛下の拝謁を賜ります。授章者の代表から天皇陛下にお礼を言上し、陛下のお言葉があります。その後、授章者は晴天のときは宮殿東庭で、宮殿を背景に記念写真を撮り退出することになります。

(佐藤正紀著・内閣府賞勲局編集協力『新版 勲章と褒章』全国官報販売協同組合、2014年を参照した)